フェラーリV8を押し込んだランチア・テーマ 同ラインで作られたフィアット・クロマ ティーポ4プロジェクトのサルーンたち(2)

公開 : 2026.02.01 17:50

アルファとフィアット、ランチア、サーブの共同計画「ティーポ4」 フェラーリのV8を積んだテーマ ブッソ設計のV6を積んだ164 ドッカンターボの9000 UK編集部が4台の個性に迫る

彫刻的なサイドラインに逆三角形グリル

アルファ・ロメオ164のスタイリングを担当したのは、ピニンファリーナ社のエンリコ・フミア氏。ボディサイドに彫刻的なラインを施し、きょうだいの3台とは大きく異なる印象が生まれた。傾斜したパネルが覆うフロント中央には、逆三角形グリルが輝いた。

低いボンネットラインを保つため、前のマクファーソンストラットは後方へ傾斜。その内側へ、2.0Lの4気筒ツインスパークやターボ、3.0L V6などのエンジンが収まる。ディーゼルエンジンも設定にあった。

アルファ・ロメオ164 クアドリフォリオ(1987〜1998年/英国仕様)
アルファ・ロメオ164 クアドリフォリオ(1987〜1998年/英国仕様)    ジャック・ハリソン(Jack Harrison)

生産は、ミラノ郊外のアレーゼ工場。英国向けの当初の300台がすぐに完売するなど、各国で好調に売れ、クーペやカブリオレ、四輪駆動版の計画も浮上したという。

ベーシック・ブランドらしく控えめな内装

1987年にフェイスリフトを受けた、フィアット・クロマも売れ行きは良かった。英国では巨額が投じられ、ディーラー網の拡大が図られたほど。ベースグレードのクロマ CHTは9365ポンドで、競合のフォード・グラナダより1297ポンドもお手頃だった。

ガンメタリック・グレーの今回のクロマも、簡素なCHT。ドアを開くと、残りの3台より内張りが薄く、内装の仕立てもベーシック・ブランドらしく控えめ。直立したダッシュボードには、実際に押せる物理スイッチやダイヤルが所狭しと並ぶ。

フィアット・クロマ CHT(1985〜1996年/英国仕様)
フィアット・クロマ CHT(1985〜1996年/英国仕様)    ジャック・ハリソン(Jack Harrison)

ガラスエリアは広く、外光が降り注ぐ車内は明るい。横方向に広く、ゆったりしたシートは窮屈に見えず、優れたパッケージングを物語る。

2.0L 4気筒エンジンは91psを発揮し、車重は1.1tを切り、サスペンションは柔らかい。ツインカム・ユニットのメカノイズは遮音され、車内には殆ど届かない。軽快に発進するが、スチール缶が道路を流れるような浮遊感を伴う。

気張りすぎると明確なアンダーステア

アクセルペダルの反応はダイレクト。唸りとともにパワーが高まり、予想以上に粘り強い。17.6kg-mの最大トルクは2800rpmで生み出され、ロングレシオのギア比へ対応する。ちなみに、CHTとはコントロールド・ハイ・タービュランスの略だ。

ゴム製ノブが載るシフトレバーは、動きが若干渋い。柔らかいスプリングと、細いタイヤの組み合わせで、ステアリングの反応はワンテンポ遅れるものの軽快。気張りすぎると、明確なアンダーステアが待っている。

フィアット・クロマ CHT(1985〜1996年/英国仕様)
フィアット・クロマ CHT(1985〜1996年/英国仕様)    ジャック・ハリソン(Jack Harrison)

ランチア・テーマへ乗り換える。現代のメルセデス・ベンツに遠く及ばないが、ドアの開閉音はクロマより重厚感がある。レザーとウッドで仕立てられた車内は、いかにも高級なイタリアンながら、レザーよりプラスティックの香りが鼻に届く。

メーターパネルには、びっしりメーターとエアコンの送風口が並ぶ。スイッチ類は、やや統一感が欠けるが、美しくデザインされた操作パネルに目が奪われる。

記事に関わった人々

  • 執筆

    アーロン・マッケイ

    Aaron McKay

    英国編集部ライター
  • 撮影

    ジャック・ハリソン

    JACK HARRISON

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    中嶋けんじ

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

ティーポ4プロジェクトのサルーンたちの前後関係

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