アルファ・ロメオ、フィアット、ランチア、サーブで共有 ティーポ4プロジェクトのサルーンたち(1) 4台の個性に迫る

公開 : 2026.02.01 17:45

アルファとフィアット、ランチア、サーブの共同計画「ティーポ4」 フェラーリのV8を積んだテーマ ブッソ設計のV6を積んだ164 ドッカンターボの9000 UK編集部が4台の個性に迫る

フィアットランチア、アルファ、サーブの共同計画

電卓がパソコンへ置き換わり始めた頃、上級サルーンにも変化の波が訪れていた。洗練された紳士的な乗り物から、走行性能と効率重視の移動空間へ変化しつつあった。

アルファ・ロメオとフィアット、ランチア、サーブの4ブランドは、これを見据え動いていた。1970年代初頭から、費用対効果の高い量産モデルの重要性は認識されていた。そこから生まれたのが、ティーポ4と呼ばれる共同計画だ。

手前からランチア・テーマ 8.32、アルファ・ロメオ164 クアドリフォリオ、サーブ9000 カールソン、フィアット・クロマ CHT。
手前からランチア・テーマ 8.32、アルファ・ロメオ164 クアドリフォリオ、サーブ9000 カールソン、フィアット・クロマ CHT。    ジャック・ハリソン(Jack Harrison)

現代では珍しくない、ブランド間でのプラットフォーム共有を意欲的に導入。同一のボディシェルに、異なるデザインのボディパネルやエンジン、インテリアが与えられた。サルーンだけでなく、ステーションワゴンにも派生した。

このティーポ4へ、フィアットは当時で23億ポンドを投入している。サーブ9000が、きょうだいのランチア・テーマと共有したボディのプレス部品は、僅か12点。それでもサーブは、共同計画によって開発時間を述べ200万時間削減できたと主張した。

効率的なパッケージングで広い車内の9000

イタルデザインの原案を元に、9000のスタイリングをまとめたのは、社内デザイナーだったビョルン・エンヴァル氏。残りの3台より早く、1984年5月に発表されている。

その頃人気だったサーブ900より全長は短く、実質的に置き換えられたロングホイールベースの900 CDの方が、160mmも長かった。しかし、横置きエンジン・レイアウトと効率的なパッケージングのおかげで、車内空間は明らかに広かった。

サーブ9000 カールソン(1984〜1998年/英国仕様)
サーブ9000 カールソン(1984〜1998年/英国仕様)    ジャック・ハリソン(Jack Harrison)

サスペンションは、前が同社初となるマクファーソンストラット。後ろは、ビームアクスルにパナールロッドを採用したトレーリングアームで、両輪の独立性が高められた。

当初のエンジンは900 T16譲りの2.02.L 4気筒ターボで、最高出力は177ps。後に2.3Lターボや、自然吸気版も追加されている。生産は1998年まで続き、合計50万3087台がラインオフ。特に1990年までは、900を上回る支持を集めた。

ランチアの新時代を告げたサルーン、テーマ

上級サルーン市場でサーブが奮闘を始めた頃、イタリアの上級ブランド、ランチアは経営難と向き合っていた。英国では、1978年に約1万2000台が輸入されたが、1984年には約3000台へ急落。製造品質の悪さから、各国でユーザーは離れていた。

そんな悪評を築いたスタイリッシュなサルーン、ランチア・ガンマの後継モデルとして誕生したのが、1984年10月発表のテーマ。1982年のアウディ100や、1983年のルノー25のように、新時代を告げるモデルだった。

ランチア・テーマ 8.32(1984〜1994年/英国仕様)
ランチア・テーマ 8.32(1984〜1994年/英国仕様)    ジャック・ハリソン(Jack Harrison)

イタルデザイン社による整った容姿は、ターゲット層を刺激するのに充分な存在感を放った。剛性の高いボディは空気抵抗へも配慮され、Cd値は0.32に抑えられていた。

エンジンは自然吸気かターボの4気筒の他、プジョーとルノー、ボルボの共同開発によるV型6気筒「PRVユニット」も設定。フェラーリ譲りの2.9L V8エンジンを積んだ、四輪駆動のテーマ 8.32が初年度から頂点を飾った。

記事に関わった人々

  • 執筆

    アーロン・マッケイ

    Aaron McKay

    英国編集部ライター
  • 撮影

    ジャック・ハリソン

    JACK HARRISON

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    中嶋けんじ

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

ティーポ4プロジェクトのサルーンたちの前後関係

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