設立100周年のシトロエン 4200台で祝う SMやDSからトラクシオンまで 後編

公開 : 2019.11.24 16:50  更新 : 2021.03.05 21:43

シトロエン・ビザ・クロノ(1983年)

オーナー:パトリック・シャトンネット

当初はパッとしないルックスで、スロースタートを切ったシトロエン・ビザ。ユーリエ社によるフェイスリフトを受けると良くなり、長寿命モデルとなった。GTiなどのスポーティ・グレードも追加されたことも一役買っている。

だが、フランス政府が古いクルマの買い換え優遇策を進めていることもあり、現存するビザは殆どない。そんな珍しいビザの中でも、クロノ・ラリー・ホモロゲーション・スペシャルはかなりの希少車。フランスのビザ・クロノ・クラブからの参加車両だ。

シトロエン・ビザ・クロノ(1983年)
シトロエン・ビザ・クロノ(1983年)

2160台が製造されたが、ビザ・クロノ・クラブの事務局を務めるパトリック・シャトンネットによれば、残存数は52台だという。

1360ccのエンジンにツインチョークのソレックスキャブを2基搭載し、最高出力は94ps。オランダ向けには81psのビザGTエンジンが搭載されており、キャブレターもシングルチョークのツインキャブになっている。

トランスミッションは5速マニュアルで、車高が下げられたサスペンションにウイングを装備。車内はラリー用シート、スポーツ・ステアリングホイールや専用のダッシュボードなどが付く。

「スポーティですよね」 ビザ・クロノ・クラブの会長、セバスチャン・ブロセットが話す。「キャブレターからの吸気音が大きく、ステアリングは重たいですが正確。路面を感じ取ることができます。ラリーのために作られたクルマですね」

「GTiの方が、リニアで柔軟性も高いです。ツーリングカーに近い仕立てで、長距離走行に向いています。クロノで500kmも走ると、疲れるかもしれません」

シトロエン15シックス・イート・コンバーチブル・サルーン(1951年)

オーナー:ジャン・クリストフ・デビュイソン

イート社はシトロエンのトラクシオン・アバンに特装を行う有名なサプライヤーだった。また戦前から戦後にかけては、コンバーチブル・サルーンへの改造も手掛けていた。

一部のシトロエン・ファンはレプリカを作るケースもあるが、ジャン・クリストフ・デビュイソンが所有するクルマはイート社が作った本物。15シックスをベースに、イート社の荷台も取り付けられている。

シトロエン15シックス・イート・コンバーチブル・サルーン(1951年)
シトロエン15シックス・イート・コンバーチブル・サルーン(1951年)

「6気筒エンジンが発するサウンドが大好き」 と話すジャン。古くからのシトロエン・トラクシオンのエンスージァストでもあり、2006年に購入したという。

窓周辺やルーフまわり、サイドシル、Bピラーからフロア、リア周りなどには木製の補強材が入っている。「(クルマの状態は)何の問題もありませんでした。とてもしっかり作られています」 と話すオーナー。会場まで725kmを走行してきたらしい。その時の平均燃費は6.3km/Lだったという。

シトロエンB2タクシー(1924年)

オーナー:ピエール・ジャムール

ピエール・ジャムールは、かつてタクシーだったクルマを25年間所有している。酷い状態だったクルマを、この素晴らしい状態に戻してきたという。

B2シャシーに、シトロエンが製造したリアがオープンになるランドレー・ボディが載っている。キャビン前方は7cm短くされ、後部座席にゆとりを持たせてあることが特徴。そのためステアリングホイールはかなり直立した角度で付いている。

シトロエンB2タクシー(1924年)
シトロエンB2タクシー(1924年)

また助手席のドアが2分割になっており、トランクの積み下ろしが容易にもなっている。リアはベージュのクロス張りで、窓を開けるためのストラップが付く。

「タクシー用の部品をコツコツ購入してきました。すべて正しい部品を選べるわけではありません。タクシーメーターは1930年代前半のもの。1920年代のものは4000ユーロ(48万円)もするので、わたしにはナシですね」 とジャムールが教えてくれた。

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