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稀代な3台のロータリー マツダ・コスモ、NSU Ro80、シトロエン・ビロトール 前編

2019.10.19

100字サマリー

NSU Ro80とシトロエンGSビロトール、マツダ・コスモは、ロータリーエンジンを搭載したクルマという点で共通しています。しかも3台は1人の非凡なオーナーによって大切に乗られています。惹きつける魅力とは何なのでしょうか。

もくじ

ロータリーエンジン車を30台以上も保有
世界初のロータリー・4ドアサルーン
ロータリーエンジンが招いたNSUの破産
コスモ110Sの運転を長年夢見てきた
コスモ以上に欲しい日本車は思い浮かばない

ロータリーエンジン車を30台以上も保有

text:Martin Buckley(マーティン・バックリー)
photo:John Bradshaw(ジョン・ブラッドショー)
translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)

30台以上のクルマをコレクションする、フィリップ・ブレイク。そのクルマで共通する点は、ロータリーエンジンを積んでいるということ。

彼自身も所収する数の多さや、クルマの社会的な非適合さは理解しているから、判断力がブレイクしているわけではない。昼間は電気技師として、週末の夜にはDJとして活躍するブレイクは、自動車だけにとどまらない情熱的な男なのだ。

NSU Ro80/シトロエンGSビロトール/マツダ・コスモ110S
NSU Ro80/シトロエンGSビロトール/マツダ・コスモ110S

ロータリーエンジンは50年以上前に、ピストン運動する通常のエンジンにかわって登場。当時は多くの人が期待を寄せていた技術だ。

滑らかに回転し、コンパクトでシンプルなエンジンの魅力は、かえがたいものだと認める読者もいるだろう。マツダは2012年までRX−8にロータリーエンジンを搭載し続けたが、燃費の悪さや環境負荷、寿命や信頼性で劣るという評価も強く、ヴァンケルが灯した炎は、今は途絶えている。

ブレイクにロータリー愛の火を付けたのは1980年代。当時10代だった彼は、200ポンド(3万円弱)で購入したNSU Ro80を親に内緒で運転していたそうだ。そのドイツ製サルーンは、今でも30年以上所有している。

今から約20年前、ロータリーエンジンの量産化に初めて成功し、世界的にも研究成果を讃えられたマツダ110Sコスモに手に入れたブレイク。それ以来、未来的なデザインをまとう1968年生れの2シーター・クーペも彼の手の中にある。

歴代の日本車の中でも希少性は高く、恐らくコレクター・コンディションなら10万ポンド(1330万円)はくだらない。トヨタ2000GTに次ぐ価値を持つ、日本製のクラシックカーだ。大きなレストアも受けていないコンディションは自慢だという。

 
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