【アンチ派も試して欲しい】テスラ・モデル3 スタンダードレンジに試乗

公開 : 2020.01.15 09:50

スムーズで上質な高級感のある走り

テスラはデザインに関して話題になりがちだが、モデル3が評価されるべきはドライビングに関する部分。シングルモーターのスタンダードレンジ・プラスの場合、最高速度は225km/h。0-96km/h加速は5.3秒でこなす。

ツインモーターのロングレンジの場合、233km/hと4.4秒となる。確かにスタンダード版はスペック的に劣るが、パワー不足を感じることはないだろう。瞬間的に引き出される太いトルクは、安楽でスムーズな加速を提供してくれる。

テスラ・モデル3 スタンダードレンジ・プラス
テスラ・モデル3 スタンダードレンジ・プラス

上位モデルのラディキュラス・モードで味わえる圧倒的な加速や、絶対的な最高速度では及ばない。でも、これ以上必要とは感じないのではないだろうか。

テスラ・モデル3の場合、他のEVモデルとは異なり、回生ブレーキの効きを調整する機能は備わらない。50kWhという容量のバッテリーの性能を最大限に引き出し、効率的に制御する能力という点では劣っているといえる。

ステアリングを切ると即座に向きを変える軽快さがあるが、フィードバックは少なく、手に伝わる感覚も少ない。だがモデル3の太いトルクをすべて引き出さずとも、走りは好印象。スムーズで上質、静寂なラグジュアリーさが味わえる。

乗り心地の洗練性はライバルモデルほどではなく、ロードノイズも大きい。BMW 3シリーズに並ぶプレミアム・サルーンとして見るなら、期待値には届いていない。

テスラの標準を新設定するスタンダードレンジ

モデル3は、テスラにおける新しい標準だといえる。その中でもスタンダードレンジ・プラスは、比較的手頃な価格も相まって、特に訴求力のある選択肢となってくる。価格の高いモデル3 ロングレンジと比べても、走行性能の差は実世界では小さいといっていい。

唯一引っかかるとすれば、560kmから408kmへと短くなる航続距離だろう。この距離で日常の運転環境に合致する、サルーンを求めるドライバーなら、モデル3 スタンダードレンジ・プラスは有力な検討候補になる。

テスラ・モデル3 スタンダードレンジ・プラス
テスラ・モデル3 スタンダードレンジ・プラス

確かに荒削りな部分もなくはない。だが安価なテスラを待っていたドライバーにとって、がっかりするようなレベルではないはず。むしろテスラに半信半疑のドライバーですら、充分に納得させられる可能性をモデル3 スタンダードレンジ・プラスは備えていると思う。

テスラ・モデル3 スタンダードレンジ・プラスのスペック

価格:3万6340ポンド(516万円/49万円の英国政府補助金適用後)
全長:4694mm
全幅:1850mm
全高:1443mm
最高速度:225km/h
0-100km/h加速:5.8秒
航続距離:405km(WLTP)
CO2排出量:0g/km
乾燥重量:1611kg
パワートレイン:永久磁石同期モーター
バッテリー:50kWh
最高出力:255ps
最大トルク:38.2kg-m
ギアボックス:シングルスピード・リダクションギア

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