テスラ、廉価版『モデルY』&『モデル3』発表 装備簡素化も独自デザイン採用 販売テコ入れ

公開 : 2025.10.09 17:45

テスラは『モデルY』と『モデル3』の新グレード『スタンダード』を発表しました。布地内装と小型センターコンソールを採用し、価格を約75~85万円安く設定。専用デザインにより空力性能も向上させています。

価格は1割強安く 空力も強化

テスラは、米国でモデルYモデル3にそれぞれ新たな廉価グレード『スタンダード(Standard)』を設定した。同社史上最悪の不振を脱し、販売促進を図る。

米国で発表されたモデルYスタンダードの価格は3万9990ドル(約610万円)で、他のグレードより5000ドル(約75万円)安い。モデル3スタンダードは3万6990ドル(約565万円)で、5500ドル(約85万円)安くなっている。

テスラ・モデルYスタンダード
テスラ・モデルYスタンダード    テスラ

いずれも、これまでで最もエネルギー消費効率が優れた仕様とされ、米国EPAの厳しいテストサイクルで最大516kmの航続距離を実現。これは欧州WLTPテスト換算で約580kmに相当する。

バッテリー容量は未公表だが、従来の後輪駆動(RWD)仕様と同じ60kWhバッテリーを採用している可能性が高い。参考までに、欧州WLTPにおけるRWD仕様の航続距離は、モデルYで500km、モデル3で520kmとされている。新しいスタンダードグレードは、これらよりも航続距離が60~80kmほど長いことになる。

テスラによると、この航続距離の向上は「特徴的な」新デザインによって達成されたという。従来型との外観上の違いを強調しながら、空力特性も高めているとのことだ。

コスト削減のため、スタンダードは簡素化された装備仕様となっている。インテリアでは合成皮革が部分的に布張りに変更され、センターコンソールはほぼ半分の長さに切り詰められた。

物理的なキーは用意されておらず、オーナーはスマートフォンで車両にアクセスする必要がある。

機能面では、他のモデルYおよびモデル3と同様だ。15.4インチのセンタータッチスクリーン(車両の主要機能をすべて制御)、リモートエアコン、セントリーモード、ドッグモードなどを備えている。

テスラの可変クルーズコントロール・システム『オートパイロット』も装備される。米国では先進運転支援システム『フルセルフドライビング(FSD)』がオプションで選択可能だ。

情報によれば、中国など主要市場での販売不振を挽回する必要性から、英国や欧州を含む他地域でのスタンダードの発売が計画されているようだ。

スタンダードは当初、米国で生産される。欧州で販売するには、ドイツのベルリン工場または中国の上海工場のいずれかで生産を拡大する必要がある。しかし、欧州連合(EU)が中国製EVに課している輸入関税を考えると、後者の可能性は低い。

記事に関わった人々

  • 執筆

    ウィル・リメル

    Will Rimell

    役職:ニュース編集者
    ニュース編集者としての主な業務は、AUTOCARのニュースの方向性を決定すること、業界トップへのインタビュー、新車発表会の取材、独占情報の発掘など。人と話したり質問したりするのが大好きで、それが大きなニュースにつながることも多い。これまで運転した中で最高のクルマは、アルピーヌA110。軽快な動きと4気筒とは思えないサウンドが素晴らしい。
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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