【何より怖いサビ】ポルシェ911 930型ビッグバンパー 英国版クラシック・ガイド

公開 : 2020.04.12 07:50  更新 : 2020.12.08 10:55

930型911の中古車 購入時の注意点

状態の良い911なら引き締まった感じがあり、スムーズで活発に走る。

SC以前、多くの2.7Lエンジンには、マグネシウム合金のクランクケースとニカシル・コーティングのアルミニウム製シリンダーが採用されている。軽量で効率的だが、排気が抑制されている北米仕様の場合は、歪みや不具合を起こしやすい。修理には費用が掛かり、構造上、治るとも限らない。

ポルシェ911(930型・ビッグバンパー)
ポルシェ911(930型・ビッグバンパー)

北米仕様のエンジンは出力も低く、ベースの2.7で0-100km/h加速8.2秒、最高速度210km/hとなる。北米版2.7カレラには、K-ジェトロニック・インジェクションが採用されている。欧州仕様のカレラは、マルチスロットルの機械式だ。

K-ジェトロニックはセッティングが決まると優れた性能を発揮する。バキュームホースやスロットルフラップ、エア漏れなどが原因で不調の場合も多いが、修理は難しくない。初期モデルはオイルの滲みも珍しくない。

対象的に3.2Lエンジンはオイルシールの性能が上がり、外側で腐食する可能性がある。3.2に採用されたモトロニック・インジェクションは、チップのアップグレードで性能を上げることも可能。

変速時の操作感は少し滑らかさを欠くが、新品でもリビルト品でも同じ。不必要に引っかかりがある場合は注意。リビルトには1500ポンド(20万円)から3500ポンド(47万円)ほど掛かる。

リアタイヤ付近からのコツコツ音にも注意点。ドライブシャフトの摩耗の可能性がある。80年以前のクルマの部品は安くはない。ダンパーのオイル漏れは一般的。ステアリングに引っかかりがある場合は、ラック上部のベアリングの寿命。

不具合を起こしやすいポイント

サビ

先出のポイントはすべて確認する。過去の修理後も見逃さずに。バンパーはアルミニウム製だが腐食が進む。1970年代の部品は複雑で、ラミネートシートでできている。

エンジン

フラット6エンジンは構造がシンプルだが、オーバーホールは安くない。英国では3000ポンド(40万円)から5000ポンド(67万円)は必要。クランクやピストン交換を入れると更に高くなる。

ポルシェ911(930型・ビッグバンパー)
ポルシェ911(930型・ビッグバンパー)

オイル漏れと吸気の乱れに注意する。試運転でパフォーマンスの低下具合や、異音がないかも確かめたい。オイル漏れは、ヘッドボルトの劣化を意味する。

オイル交換と、カムチェーン・テンショナーの交換履歴も調べたい。多くが1984年以降の圧力テンショナーに交換してあるはず。

エンジンの下側を覗いて、ヒートエクスチェンジャーの状態を確かめる。腐食や、クランクケースからのオイル漏れも目視する。

トランスミッション

ガリガリとした変速フィールは、シンクロメッシュの摩耗。1980年までのマグネシウム製ケースは、腐食も確認する。

多くが5速マニュアルだが、初期のクルマには4速もある。スポルトマチックは少数。1986年後半からは、油圧クラッチを備えたG50が採用された。

エグゾースト

注意すべきはサビ。1975年以降の北米仕様は、有害物質を取り除くサーマルリアクターと呼ばれる装置が付いている。

電装部品

3.2の場合は、湿気でアラームやイモビライザーが不調の場合がある。DMEリレーやECUも同じ。カーペットの湿り気を見ておく。

インテリア

ダッシュボードの上部や周辺の亀裂を確認。すべてのメーター類が機能するかも確かめる。油圧は、温まった状態で4000rpmで4barくらいが正常。

フロント・トランク

フロントの荷室の隅やバッテリートレイの下など、サビや修理歴を確認する。過去の事故歴もわかる。

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