【正常進化した優雅なモデル】際立つハンドリングの軽快さ!992.2型ポルシェ911カレラ・カブリオレ

公開 : 2025.04.08 11:45  更新 : 2025.04.08 19:25

992.2型に切り替わっている911の現行モデルの中でも、取り回しのいいサイズ感と特筆モノのパワーユニットが魅力のポルシェ911カレラ・カブリオレ。クーペとも異なるその魅力を吉田拓生が解説します。

オーナーにのみ許された愉悦

ポルシェ911の現行モデルは昨年デビューした992の後期モデル、992.2型に切り替わっている。GTSグレードがポルシェ911として初めて電動化されたというトピックこそあったが、徐々にラインナップを増やしていくという伝統的なスタイルは変わらない。その中にはもちろんソフトトップを備えた911カレラ・カブリオレも含まれている。

オープンボディの911のファミリーは、今回試乗できたベーシックなカレラ・カブリオレにはじまり、S、GTS、4GTS、Tという5モデルで、カレラ・クーペと同じだけ揃っている。

ポルシェ911カレラ・カブリオレ(右)と別記事でレポートしたGTS。
ポルシェ911カレラ・カブリオレ(右)と別記事でレポートしたGTS。    田中秀宣

ポルシェというメーカーは創業当初からのリアエンジンレイアウトを頑なに守るようなスタンスの持ち主でありながら、派生するモデルに関しては可能な限りユーザーの要望にフィットするようなバリエーションを揃えてくれているのだ。

今回の試乗車は、シェードグリーンメタリックのボディにオプションのストライプが入っていた。ストライプはフロントフードだけでなくソフトトップにも入っているという凝ったもの。ちなみに試乗車に含まれていたオプションの総額は750万9000円なので、車両価格と合わせると2693万9000円になる。

よく「オプションだけでクルマが買える!」なんて言われたりするポルシェだが、乗り出し2000万円を超えるスポーツカーを買うオーナーの身になってみれば、自分の好みを事細かに反映させられることも楽しみのひとつに違いない。

ソフトトップ開閉で快適なオープンを堪能

さて、992.2型カレラ・カブリオレである。わかりやすい変更点は、ヘッドランプ下に横一線で独立していたドライビングライトが、新しいマトリクスLEDヘッドライトに組み込まれたこと。これに合わせ、テールランプまわりのデザインも新しくなっている。

室内では、スターターの形状が変更された。金属製のキーが、樹脂製を経てツマミになり、992.2型ではついにボタンになったのだ。メーターパネルも伝統的なデザインは踏襲しているが、中央のレブカウンターを含めフルデジタルパネルに変更されている。

カブリオレ化による重量増加は、リアにプラス50kgとなる。
カブリオレ化による重量増加は、リアにプラス50kgとなる。    田中秀宣

フラット6ターボの最高出力は、前期型の385psから394psに引き上げられている。車検証に記載された車重はフロント580kg、リア1040kgの1620kg。カレラ・クーペはフロント580kg、リア990kgの1570kgだったので、リアのプラス50kgがカブリオレ化による重量増加分ということになるだろう。

電動のソフトトップは、50km/h以下なら走っている最中でも開閉可能。今回は、高速道路に乗るまではオープン、長いトンネルを含めた高速道路上はクローズ。途中のパーキングから撮影場所に至るセクションでは再びオープンといった感じでオープンエアドライブを堪能した。

ソフトトップまわりに特に変更はないはずだが、トンネル内を走っている最中のノイズの侵入がしっかりと抑えられていた点はさすがだと感じた。クーペとカブリオレの快適性が、代変わりするごとに近づいてきているという見方もできるはずだ。

記事に関わった人々

  • 執筆

    吉田拓生

    Takuo Yoshida

    1972年生まれ。編集部員を経てモータリングライターとして独立。新旧あらゆるクルマの評価が得意。MGBとMGミジェット(レーシング)が趣味車。フィアット・パンダ4x4/メルセデスBクラスがアシグルマ。森に棲み、畑を耕し蜜蜂の世話をし、薪を割るカントリーライフの実践者でもあるため、農道のポルシェ(スバル・サンバー・トラック)を溺愛。
  • 撮影

    田中秀宣

    Hidenobu Tanaka

    写真が好きで、車が好きで、こんな仕事をやっています。
    趣味車は89年式デルタ・インテグラーレ。
  • 編集

    平井大介

    Daisuke Hirai

    1973年生まれ。1997年にネコ・パブリッシングに新卒で入社し、カー・マガジン、ROSSO、SCUDERIA、ティーポなど、自動車趣味人のための雑誌、ムック編集を長年担当。ROSSOでは約3年、SCUDERIAは約13年編集長を務める。2024年8月1日より移籍し、AUTOCAR JAPANの編集長に就任。左ハンドル+マニュアルのイタリア車しか買ったことのない、偏ったクルマ趣味の持ち主。

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