【手が届かない】なぜ最近のスポーツカーが高くなったのか? 背景に装備拡充/増税 根本問題も

公開 : 2020.04.20 05:50  更新 : 2021.10.22 10:17

売れ行き低迷 コスト低減むずかしく

スポーツカーの価格が高まった背景には、以前に比べて売れ行きが全般的に下がり、量産効果に基づくコスト低減を図りにくくなった事情もある。

例えばロードスターの世界生産台数は、1990年には9万5640台であった。それが2000年代に入ると、SUVの高人気も影響して、年間生産台数が2〜4万台に下がった。

スポーツカーはファンに支えられるクルマだから、メーカーが厳しい市場環境の中で頑張って改良を続ければ、そこに共感して購入する。
スポーツカーはファンに支えられるクルマだから、メーカーが厳しい市場環境の中で頑張って改良を続ければ、そこに共感して購入する。

生産累計90万台を2011年に達成しながら、100万台に到達したのは2016年だ。最盛期には1年間に10万台近くを生産したが、2011年以降は約5年を要した。

それでもロードスターは現行型になって人気を少し盛り返し、1年間に海外を含めて約3万台を売るが、独自のプラットフォームやパーツを多く使うこともあって、この台数ではコスト低減を図るのは難しい。

その結果、スポーツカーはロードスターに限らずフルモデルチェンジの周期が全般的に長い。そうなると古さが一層目立ち、売れ行きも下がる悪循環に陥りやすい。

そこで重要なのがマイナーチェンジだ。頻繁に改良を行えば商品力が維持され、前期型のユーザーが中期型に乗り替え、さらに後期型を買うこともある。

スポーツカーはファンに支えられるクルマだから、メーカーが厳しい市場環境の中で頑張って改良を続ければ、そこに共感して購入する。

価格の上昇、燃費や騒音規制の強化などスポーツカーの障壁は増えているが、ロードスターのように少数でも安定的に売れ続ける車種がある。

スポーツカーは、メーカー/ディーラー/ユーザーが一緒に造っている商品だから、売れ行きが下がっても根強い需要があり、簡単には消滅しない。

記事に関わった人々

  • 渡辺陽一郎

    Yoichiro Watanabe

    1961年生まれ。自動車月刊誌の編集長を約10年間務めた後、フリーランスのカーライフ・ジャーナリストに転向した。「読者の皆様にケガをさせない、損をさせないこと」を重視して、ユーザーの立場から、問題提起のある執筆を心掛けている。買い得グレードを見極める執筆も多く、吉野屋などに入った時も、どのセットメニューが割安か、無意識に計算してしまう。

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