現存する米国最古の自動車メーカー ビュイックの歴史(後編) レースでの活躍、中国人気と現行モデル

公開 : 2026.01.31 11:45

120年以上の歴史を誇る米国の自動車メーカー、ビュイック。ゼネラルモーターズ傘下ではプレミアム志向のブランドに位置づけられ、数多くの名車を生み出してきました。本特集ではビュイックの歩みを振り返ります。

遅ればせながら前輪駆動を初採用

ビュイックが前輪駆動車の生産を始めたのは1979年、最初期のコードL-29が発売されてから半世紀も経ってからのことだ。ゼネラルモーターズにとっても目新しい技術ではなかった。6代目リビエラはキャデラック・エルドラドやオールズモビル・トロナードと関連があり、これら両車は1960年代半ばから前輪駆動方式を採用していた。

初期のリビエラもこれらと同じプラットフォームをベースにしていたが、ビュイックはわざわざ後輪駆動へ変更したのである。

ビュイック・リビエラ
ビュイック・リビエラ

NASCARにおけるビュイック

ビュイック車は長年にわたり全米自動車競走協会(NASCAR)に参戦してきたが、1981年と1982年ほど成功した年はなかった。1981年はNASCARのジェネレーション3規定が初めで導入された年だ。ビュイックが投入したのはリーガルで、ダレル・ウォルトリップ氏はドライバーズタイトル、ビュイックはマニュファクチャラーズタイトルを獲得した。

翌年も両タイトルを制覇。ボビー・アリソン氏は1983年の大半をビュイックで走りドライバーズチャンピオンとなったが、その年のマニュファクチャラーズの最高位はシボレーだった。

ビュイック・リーガル
ビュイック・リーガル

栄えあるグランドナショナル

ビュイックは1981年のNASCAR勝利を記念し、翌年に販売開始したリーガルのグランドナショナル仕様を開発した。市販版にはレース仕様の5.8L V8ではなく、当時すでに定評のあった3.8L V6エンジンが搭載された。

1987年モデルでは、究極の限定生産モデルであるGNX(グランドナショナル・エクスペリメンタル)が登場した。300psを超える出力を持ち、547台限定で即完売。2022年1月、走行距離わずか914kmの個体が30万8000ドル(約4890万円)で落札され、今日では5万ドル(約790万円)以下で中古車を手に入れるのはほぼ不可能だ。

ビュイック・グランドナショナル
ビュイック・グランドナショナル

ビュイックとインディ

ビュイックがインディアナポリス・モーター・スピードウェイで初勝利を収めたのは1909年、初の500マイルレース開催の2年前だ。1980年代、ビュイックは市販V6エンジンの競技仕様を開発し、インディレースに投入した。当時のレギュレーションでは「ストックブロック(市販用)」エンジンは競技専用設計のものより排気量が大きく、ターボチャージャーのブースト圧も高く設定できた。

ビュイックのV6エンジンがインディ500で優勝することはなかったが、多くのチームに選ばれた。ビュイックは1992年、市販車用エンジンとの関連性が低下したことを理由にインディから撤退した。

ビュイックのV6エンジン
ビュイックのV6エンジン

記事に関わった人々

  • 執筆

    AUTOCAR UK

    Autocar UK

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の英国版。
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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