【ゴルフRと共通項多く】アウディSQ2に試乗 よくも悪くも強烈ではない フィジカル強し SUVの利点も

公開 : 2020.10.18 05:50  更新 : 2021.10.11 14:50

基本フィジカル性能は高いが……

そうやって「らしく」走らせたときでも、SQ2はその動力性能を完全支配下に置く。

ドライではグリップを失うこともまずなく、適度にマイルドで安定した姿勢を徹頭徹尾キープして、ステアリング操作どおりに曲がっていく。

アウディSQ2のリアビュー。日本の現実的な交通環境では、上屋がずっと細かく上下し続けている。
アウディSQ2のリアビュー。日本の現実的な交通環境では、上屋がずっと細かく上下し続けている。    神村 聖

これは素直にたいしたものだが、考えてみれば、Q2はアウディ最小SUVであっても、その体格は1つ上のハッチバックと大差ないことも事実である。

その骨格設計に上級モデルの共通点が多いことは前記のとおりだし、たとえば1570kgという車重は同じパワートレインのS3/ゴルフRより重いくらいだ。

2.6mを切るホイールベースやSUVらしい大きめの地上高こそ、スポーツモデルとしては不利な要素だが、1.8mいう全幅は兄貴分のS3と較べても幅広く、SQ2だけがすべてのディメンションで劣るわけではない。

つまり、このクルマはベースのQ2の時点で、もともと基本フィジカル性能が高いのだ。

スポーツモデルとしての走りはほぼ文句なしのSQ2だが、乗り心地については完璧とはいえないかもしれない。

たしかに路面からの衝撃は適度に丸められていて、それ自体に不快感を抱くほどではない。また、荒れた舗装路でもホールディング性能は素晴らしく、クルマが跳ねることもないが、そのときも上屋はずっと細かく上下し続けている。

どんなクルマでも乗り心地がヒタッと落ち着く領域がどこかにあるものだが、SQ2の場合は、そうしたスイートスポットを日本の現実的な交通環境で味わうのがむずかしいようだ。

SQ2はS3に肉薄 SUVらしい利点も

日本におけるSQ2の本体価格は599万円。

今回の試乗個体は大径19インチホイールや「バング&オルフセン」のオーディオシステム、内装の間接照明、ナッパレザーの本革シートまでオプションをフルトッピング(?)しており、合計700万円を軽く超えていた。

アウディSQ2の内装。SQ2インテリアデザインパッケージ/マルチカラーアンビエントライティング/レッドアクセントリング付きエアコン吹出口の追加で26万円。
アウディSQ2の内装。SQ2インテリアデザインパッケージ/マルチカラーアンビエントライティング/レッドアクセントリング付きエアコン吹出口の追加で26万円。    神村 聖

しかし、実際に購入するなら、本体価格に先進安全装備、ナビ、バーチャルコクピット(=フルカラー液晶メーター)、電動テールゲートなどをセットにした48万円のオプションパックを追加した647万円が、1つの目安になると思われる。

それでもBセグメントSUVとしては安くないが、その絶対額がS3(従来型)の価格とほぼ同等だと考えると「こんなものかな」とギリギリで納得できるレベルではある。

SQ2と従来型S3ではハードウェアの共通点が多く、内外装の質感表現もまったく同じとはいわないが、SQ2はS3に肉薄している。

いっぽうで、SUVならではのパッケージによって、後席や荷室の使い勝手はSQ2のほうが優れている面もあるし、SQ2の全高は立体駐車場対応の1525mmなので、都市部での取り回しにも差はない。

それに加えて、今っぽい空気感……という意味では、今をときめくクロスオーバーSUVのSQ2のほうに、高い商品力を感じる向きも多かろう。

アウディSQ2のスペック

価格:599万円
全長:4220mm
全幅:1800mm
全高:1525mm
最高速度:-
0-100km/h加速:-
燃費:11.6km/L(WLTCモード)
CO2排出量:200g/km
車両重量:1570kg(パノラマサンルーフ装着時+20kg)
パワートレイン:直列4気筒1984ccターボ
使用燃料:ガソリン
最高出力:300ps/5300-6500rpm
最大トルク:40.8kg-m/2000-5200rpm
ギアボックス:7速デュアルクラッチ
乗車定員:5名

アウディSQ2。試乗車のオプション総額は123万円であった。
アウディSQ2。試乗車のオプション総額は123万円であった。    神村 聖

記事に関わった人々

  • 佐野弘宗

    Hiromune Sano

    1968年生まれ。大学卒業後、ネコ・パブリッシング入社。カー・マガジン等で編集作業に携わるうちに3年遅れで入社してきた後藤比東至と運命的な出逢いを果たす。97年、2人でモンキープロダクションを設立するべく独立。現在はモータージャーナリストとして「週刊プレイボーイ」「AUTOCAR JAPAN」「○○のすべてシリーズ」他、多数の雑誌、ウェブ等で活躍中。
  • 神村聖

    Satoshi Kamimura

    1967年生まれ。大阪写真専門学校卒業後、都内のスタジオや個人写真事務所のアシスタントを経て、1994年に独立してフリーランスに。以後、自動車専門誌を中心に活躍中。走るのが大好きで、愛車はトヨタMR2(SW20)/スバル・レヴォーグ2.0GT。趣味はスノーボードと全国のお城を巡る旅をしている。

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