【チューニングで長所を伸ばす】ACシュニッツァー・トヨタGRスープラへ試乗 KWサスと400ps

公開 : 2021.01.10 10:25  更新 : 2021.03.05 18:45

扱いやすいトルク 改善された乗り心地

ACシュニッツァーのECUで大幅に強められたトルクによって、扱いやすい動的性能も獲得。BMW M2コンペティション並みの速さはないかもしれないが、非常に速く、安定性も向上した。

電動パワーステアリングはそのままだというが、ステアリングの重さが自然に変化することも、手のひらでわかる。ブレーキペダルを踏んだ時の反応は若干丸くなり、サーボアシストの量が減らされたように感じられた。

ACシュニッツァー・トヨタGRスープラ(欧州仕様)
ACシュニッツァー・トヨタGRスープラ(欧州仕様)

どちらも、軽量な21インチ・ホイールへの変更で生まれた違いだろう。タイヤはミシュラン・パイロットスポーツ4Sで、速度域を高めつつ、ドライバーの自由度も犠牲にはなっていない。

増強されたトルクを引き出せば、オリジナルのスープラ同様に、コーナー出口でテールを外側に流すことも容易。ドライバーが望まなければ、安定したまま脱出してくれる。

乗り心地も改善されたように思えた。ACシュニッツァーは、巨大なホイールを履かせても、しなやかに衝撃を吸収するサスペンションをいつも提供してくれる。アルピナ社のように。

今回の試乗は、ドイツとオーストリアを結ぶきれいな舗装路面だったから、快適だったのは当然ではある。しかし英国の乱れた路面でも、きっと穏やかな乗り心地であることは想像に難くない。

GRスープラに与えられたチューニングによって、落ち着きを向上させつつ、楽しく惹き込まれるようなドライビング特性に磨きがかかっている。優秀なACシュニッツァーへ、期待するとおりの内容だ。

チューニングによる確実な進化

コンピューター・チューニングを受けたといっても、オリジナルのECUは残されており、エンジンはトヨタのディーラーでメンテナンスが可能。それ以外のチューニング・メニューは、ACシュニッツァー社で保証してくれる。

今回試乗した限りでは、何よりKW社製のサスペンションの仕上がりが一番印象深かった。スープラの特徴を、見事に伸ばしている。

ACシュニッツァー・トヨタGRスープラ(欧州仕様)
ACシュニッツァー・トヨタGRスープラ(欧州仕様)

安価にパワーアップしたいなら、リッチフィールド社という選択肢が英国にはある。4000ポンド(54万円)で、3.0L直6からACシュニッツァーを超える馬力を手に入れられる。

この価格帯の中ではBMW M2コンペティションが、依然としてドライバーを強く誘惑することに変わりはない。しかしACシュニッツァー社が手を加えたGRスープラも、大きく魅力度を高めている。部分的には、ライバルを上回る訴求力を獲得してさえいる。

価格は高いものの、GRスープラは確実な進化を遂げていた。本来のトヨタGRスープラも、こうあるのが理想的だと思う。決り文句かもしれないけれど。

ACシュニッツァー・トヨタGRスープラ(欧州仕様)のスペック

価格:2万ポンド(270万円/チューニング・パッケージのみ)
全長:4379mm(標準GRスープラ)
全幅:1854mm(標準GRスープラ)
全高:1292mm(標準GRスープラ)
最高速度:249km/h
0-100km/h加速:4.0秒(予想)
燃費:−
CO2排出量:−
乾燥重量:1500kg
パワートレイン:直列6気筒2998ccターボチャージャー
使用燃料:ガソリン
最高出力:400ps/5100-6450rpm
最大トルク:61.3kg-m/3000-3500rpm
ギアボックス:8速オートマティック

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