【業界の重役に訊く】2021年は電気自動車の年になる? 欧州市場の転換点

公開 : 2021.02.02 19:05

インフラ整備のタイムラインは?

アリソン・ジョーンズもパリー・ジョーンズも、より多くの行動が必要があることには同意している。しかし、政府による支援策については意見が分かれた。

アリソン・ジョーンズ

「予測では、2030年までに自動車の25%がバッテリー駆動になると言われています。そうすると、家庭やオフィスも含め、1100万個の充電ポイントが必要になります。今はまだそのような状況に至っていないので、大規模な投資が必要です」

プジョーe208
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「(英国では)政府がエネルギー会社に投資したり、提携したりするという話を聞くことがあるでしょうが、そのスピードは速くありません。OEMとしてインフラを動かすことはできません。現在の燃料のように自由に利用できるインフラが必要だからです」

パリー・ジョーンズ

「十分に進んでいないことには同意します。しかし、わたしは政府に資金提供を求めることについてはもっと慎重です。政府がシード・ファンディングを行うべきだと考えていますが、顧客が何を求めているのかを政府が決めるべきではありません」

「その代わりに、この分野に参入する企業にインセンティブを与えるべきです。また、顧客もハイレベルのサービスに対しては追加料金を支払うことができるような料金モデルを持つべきです。そうすれば、異なるレベルのサービスを提供することができ、長距離を移動する人々を惹きつけ、急速充電に少し多めの料金を支払うことができるようになります」

EVは長期的な解決策になり得るのか?

パリー・ジョーンズ

「ハイブリッド、EV、ICEの素晴らしいミックスになるでしょう。これは、EVが自動車の興奮を終わらせるものではないことを示しています」

「電動化は長期的な解決策の一部です。一度足掛かりを得てしまえば、なくなるとは思えません。なぜなら、EVはICEの欠点の多くを克服しているからです。非常にシンプルな技術です。現代のICEは人間の創意工夫の賜物ですが、信じられないほど複雑です。効率が良くてクリーンであればあるほど複雑になるのに対し、EVはどんどんシンプルになっていきます」

プジョーe2008
プジョーe2008

水素のことはよくわかりません。フォードで水素自動車を作りましたが、恐ろしく高価で難しい。航空機、船舶、大型トラックなどに用途はあると思いますが、長期的に自動車に使えるかどうかは確信が持てません」

アリソン・ジョーンズ

「わたしもそう思います。わたしは、EVから興奮を得ることができると思います。エンジニアはクルマから楽しさ、興奮、感情を引き出すために努力しています。すべての業界で排出ガスを改善したいという希望によって(電動化に向けて)推進しています」

「そして、その道筋をナビゲートし、顧客にできる限り明確なガイダンスを提供することで、今後10年、15年、20年と顧客のクルマを守っていくことができるのです。そのために重要なのが、自動車を所有するメリットをいかに確実に伝えていくかということです」

「1つ確かなことは、業界は確実に変化しており、今後も変化し続けるということです」

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