セアト・レオンST 1.8 TSI FR

公開 : 2014.01.25 19:10  更新 : 2017.05.29 18:44

■どんなクルマ?

セアトレオンの3番目の、そして最後となるボディ・シェイプがこのレオンSTだ。セアトはSTをスポーツ・ツアラーの略としているが、実用的なエステート・モデルである。そのボディは272mmほどハッチバックに対して延長され、ブートスペースも587/1470ℓという大容量を誇る。これに勝るのは兄弟車であるフォルクスワーゲン・ゴルフ・エステートぐらいだ。ドイツ生まれのその兄弟車は695/1620ℓのスペースを持つ。

おそらくフォルクスワーゲン・グループとしては実用性を重視したゴルフに対して、ややスポーティなチョイスとしてレオンSTをポジショニングしているようである。

エンジンは104bhpまたは108bhpの2つの1.6ℓディーゼルと、148bhpまたは181bhpの2つの2.0ℓディーゼルが搭載される。また、ガソリン・エンジンとして178bhpを発揮する1.8ℓモデルも用意される。今回テストしたのは、シリーズで最も強力なパワー・ユニットとなる1.8 TSIだ。ギアボックスは7速のデュアル・クラッチが組み合わせられている。この他、ガソリン・エンジンとしては104bhpの1.2ℓ、13bhpの1.4ℓがラインナップに加えられている。

■どんな感じ?

レオンSTはクロスオーバー・マーケットを脅かす存在ではない。従って、新しい日産キャシュカイはレオンSTを恐れる必要は全くない。そのかわり、フォード・モンデオ・エステートなどがそのライバルとなる。モンデオはレオンよりもワンサイズ大きいが、そのブートスペースはレオンSTが587ℓ、モンデオ・エステートが537ℓと、より多くの荷物を積むことができるのだ。

更にセアトはそのブート・スペースを有効活用できるような仕組みを作り出している。長尺物を積むためのスルー・ハッチ、ワンタッチ・リア・コンパートメント・リリース・ハンドル、ダブル・ブート・フロア、13の荷物固定用の金具などがそれだ。またホームセンターから買ってきた長い脚立を積むためには、助手席も前方に折り畳めるのだ。

178bhpのこのモデルは、ホット・ハッチではない。しかし、その0-100km/h加速は、より軽いハッチバック・モデルよりも0.5秒遅いが、それでも7.7秒の俊足ぶりを示す。しかもこのFRスペックには、コンフォート、ノーマル、スポーツの3つのドライブ・モードが選択できるセアト・ダイナミック・シャシー・コントロールが付けられている。

実はヨーロッパ大陸でレオンSTをドライブした経験があるのだが、英国の路上ではこれが初めてのこととなる。FRスペックの4輪マルチリンク・サスペンションは、ロースペックのモデルに採用されているトーション・ビームのリア・サスペンションに比べて、明らかに英国の田舎道の路面の凹凸をよく吸収してくれる。また、電子制御のノンスリップ・デフは、アンダーステアをうまく打ち消してくれた。実際、走っているとその長いリア・セクションの存在を忘れてしまうほどだ。

電子機械式のステアリングのセットアップは、充分なフィードバックがあるというものではないが、それでもエンスージァスティックなドライバーでも満足できるもの。

また、高速道路上のクルージングは、ノイズも良く抑制されており快適な空間が保たれる。また、7速のデュアル・クラッチも、継ぎ目のないシフトチェンジをもたらしてくれた。

■「買い」か?

セアト・レオンSTは、マーケットにおいてはかなりニッチな部分を狙ったモデルになるだろう。実用面で言えば、明らかにフォルクスワーゲン・グループのスコダ・オクタビアやゴルフ・エステートの方が上だからだ。実際にライバルは、フォード・フォーカスSTエステートになるのだろうか。価格的も£23,095(396万円)と非常に近いところにある。

もし。ハッチバックのようなドライビング・マナーとそこそこの積載能力を持つスタイリッシュなエステート・モデルを探しているのであれば、レオンSTはその選択肢になるべき1台である。

(ゲイリー・ロード)

セアト・レオンST 1.8 TSI FR

価格 £22,845(392万円)
最高速度 224km/h
0-100km/h加速 7.7秒
燃費 17.6km/ℓ
CO2排出量 135g/km
乾燥重量 1372kg
エンジン 直列4気筒1798ccターボ
最高出力 178bhp/4000-6200rpm
最大トルク 35.4kg-m/1500-3900rpm
ギアボックス 7速デュアル・クラッチ

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