見た目はレーシングカーでも、驚異的な扱いやすさ アストン マーティン・ヴァルハラ(2) 粗野な運転体験は望まず

公開 : 2026.04.16 18:10

アストン マーティン初の量産ミドシップ・スーパーカー、ヴァルハラ。トータルで1079psと111.9kg-mを生む、V8プラグインハイブリッドの実力とは。UK編集部がスペインのサーキットで評価しました。

グランドツアラーらしい快適性

高度な技術で構成された、アストン マーティン・ヴァルハラ。風通しの良さを意識したパッケージングだと、同社は主張する。事実、見た目からは想像できないほど柔軟に足回りは伸縮し、グランドツアラーらしい快適性を備えている。

巨大なアクティブウイングは、最大600kgという巨大なダウンフォースを生み出す一方、時速150マイル(約241km/h)以上では効果を弱め、サスペンションを過度に引き締める必要性をなくしている。結果として、滑らかな乗り心地が実現された。

アストン マーティン・ヴァルハラ(英国仕様)
アストン マーティン・ヴァルハラ(英国仕様)

今回の試乗は、スペイン北部。市街地には速度抑制用のスピードバンプが点在しているが、車高は充分あり、ノーズリフト機能は使う必要がないとか。プロトタイプ・レーシングカーに近い姿でも、ちゃんと日常性も備わる。

ボディシェルはカーボンファイバー製。極めて高剛性で、サスペンションの硬さは直接乗り心地へ影響する。しかし、アストン マーティンは粗野な運転体験を望んでいない。居心地の良さを、感じて欲しいと考えているはず。

公道では見事なまでに運転しやすい

ドライブモードは、EV、スポーツ、スポーツ+、レースの4種類から選べる。任意で、パワートレインやサスペンションの設定を登録することもできる。

EVモードでも、コクピットで聞こえる走行時のノイズは意外と大きい。とはいえ、閑静な住宅地から出発する場合、現代では必要なモードだろう。

アストン マーティン・ヴァルハラ(英国仕様)
アストン マーティン・ヴァルハラ(英国仕様)

郊外へ出たところで、スポーツ・モードへ。フィーリングはとても自然。フェラーリ849 テスタロッサのように、複雑な技術でも統一感を生もうという努力が垣間見れる。果たして、公道では見事なまでに運転しやすい。

ステアリングやサスペンションは滑らかに動き、反応は一貫している。エンジンの反応は極めてリニア。路面を流れるように進む。ブレーキディスクは、前が直径410mm、後ろが390mmで、限界へ追い込むのが難しいほど大径といえる。

鍵を握る基本的な動的能力の高さ

アストン マーティンへ期待する、興奮も楽しめる。フラットプレーン・クランクのV8エンジンは、胸が苦しくなるような咆哮は放たないものの、50km/h前後で3速からの加速力は驚異的。カーボン製モノコックを介した、音響体験もダイレクトだ。

それでも、公道では実力を解放しきれない。準備されたスペインのナバラ・サーキットは雨上がりで、高いギアでレブリミット付近を活用することが難しかったが。

アストン マーティン・ヴァルハラ(英国仕様)
アストン マーティン・ヴァルハラ(英国仕様)

サウンドは、ドライでダイナミック。フェラーリのフラットプレーン・ユニットのようなエッジーな響きではなく、鳥肌を誘うほどではないが、筆者は気に入った。そして、最高出力1079ps、乾燥重量1655kgのスーパーカーでありながら、驚異的に扱いやすい。

アストン マーティンの担当者は、その鍵は基本的な動的能力の高さにあると説明する。前後のブレーキを高精度で制御し、回頭性を高めるトルクベクタリングのような技術を活かすには、優れた操縦性が不可欠だと話す。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・プライヤー

    Matt Prior

    役職:編集委員
    新型車を世界で最初に試乗するジャーナリストの1人。AUTOCARの主要な特集記事のライターであり、YouTubeチャンネルのメインパーソナリティでもある。1997年よりクルマに関する執筆や講演活動を行っており、自動車専門メディアの編集者を経て2005年にAUTOCARに移籍。あらゆる時代のクルマやエンジニアリングに関心を持ち、レーシングライセンスと、故障したクラシックカーやバイクをいくつか所有している。これまで運転した中で最高のクルマは、2009年式のフォード・フィエスタ・ゼテックS。
  • 翻訳

    中嶋けんじ

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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