【電動化、飛行能力、戦闘力】2030年のボンド・カー 「007」の愛車はどうなる? デザインコンペ

公開 : 2021.06.06 06:05

優勝作:ポールスター007

デザイナー:ジョアン・ニーバ

2030年のボンド映画では、スウェーデンのケブネカイゼ山付近の雪に覆われた地域で、英国最高の諜報員がポールスター007に乗る。今回受賞した学生デザイナーのジョアン・ニーバの考えた設定では、そうなっている。

ジョアン・ニーバが提案したポールスター007
ジョアン・ニーバが提案したポールスター007

彼の提案するクーペは、ポールスターの特徴的なデザイン要素をうまく利用しながら、さらに幾何学的な一面を加えている。フラットなボディサイド、大きなフロント・エアインテーク、そしてアグレッシブな印象を与えるシャープなヘッドライトが特徴的だ。

車名はやや単純なものだが、ニーバはポールスターの基本的な命名方法と合致していると考えている。

このクルマは史上最もパワフルなボンド・カーというわけではないが(各車輪に108psの電気モーターを1基ずつ搭載)、前方に設置されたロケットランチャーと後方の二連装マシンガンにより、確実に反撃することができる。

車輪が変形してフラットになると、ホイールのスポークが羽根の役割を果たし、ドローンのような揚力と安定性を得ることができる。超急速充電に対応した320kWhの全個体電池を積んだ重い車両を浮かび上がらせるほどのパワーだ。

優れたデッサン力と大胆な提案により、彼の考案したシナリオに説得力とリアリティが加えられている。立ち上げられたばかりの新生ブランド、ポールスターには、ニーバのコンセプトのように人気映画シリーズへの露出が必要だ。ポールスター007は、アクションの舞台となるスウェーデンの地に完璧にマッチしている。

デザイナーになるのは大変なのか

世界の自動車生産台数は急速に増加し続けているため(現在は年間8000万台、今後は1億台の見込み)、カーデザイナーの需要は将来的に大きくなると見られている。また、電動化が進み、性能やサウンドが価格帯の間でほとんど変わらなくなると、デザイナーはブランド力、特にポルシェフェラーリアルファ・ロメオなどのバッジを維持するために工夫を重ねなければならない。

しかし、それほど単純な話ではない。コベントリー大学出身のコース・ディレクター、エイサル・ガッサンは、新しいデザインの仕事における競争は非常に激しいと語る。世界でも有数の教育機関であるコベントリー大学では、現在、400人の学生が学部課程に在籍し、40人の学生が大学院の資格を取得しようとしている。その中には、ここで紹介した新進デザイナーも含まれている。

今後、部品の共通化によってクルマの「個性」はどんどん薄まっていくかもしれない。そこで、差別化に重要な役割を果たすのがデザインではないだろうか。
今後、部品の共通化によってクルマの「個性」はどんどん薄まっていくかもしれない。そこで、差別化に重要な役割を果たすのがデザインではないだろうか。

世界最高の仕事の1つにふさわしく、入学するのは大変だ。たくさんの才能と強い労働意欲、そしておそらくは幸運も必要だ。しかし、未来のクルマを買う人にとっては、素晴らしい製品が約束されているのだ。

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