クラシカルな趣を深く堪能 フェラーリ12チリンドリ・スパイダー(1) 「スピードにフィットする」リトラクタブル・ハードトップ
公開 : 2026.07.21 18:05
クラシカルな趣のGTを目指した、フェラーリ12チリンドリ・スパイダー。直接浴びれる類まれなエンジン音に、予想を超える敏捷な身のこなしで、1つの完成形にあるとUK編集部は評価します。
クラシカルな趣のグランドツアラー
V12エンジンをフロントに積んだフェラーリの、設計思想の転換が表出した12チリンドリ。1960年代のフェラーリ365 GTB/4「デイトナ」を想起させるロングノーズ・ボディをまとい、徹底的な性能追求からの脱却が示されたのは2年前だ。
新たに目指されたのは、クラシカルな趣のグランドツアラー。アストン マーティンやベントレーが、その変化を歓迎しなかったとしても納得できる。そして、この特性をより深く堪能したいなら、クーペ以上にスパイダーの方が望ましいかもしれない。

メカニズム的にクーペとスパイダーは同一で、主な違いは固定ルーフを備えないことによるボディの強化。車重はクーペ比で60kg増え、乾燥重量は1620kgが主張される。
前後のピラーが補強され、サイドシルも太くなっている。具体的な数字は明らかになっていないが、フェラーリ812 GTSより剛性は15%向上したという。
45km/hまで開閉できるリトラクタブル・ハードトップ
ソフトトップなら、ここまで重くならなかっただろう。しかし、デザイナーのアンドレア・ミリテッロ氏は、それはロマンティックなモデルへ似合うアイテムだと説明する。フェラーリ・アマルフィのような、フェラーリが良いと。
12チリンドリが背負うのは、45km/hまでなら走行中でも14秒で開閉できる、リトラクタブル・ハードトップ。「よりスピードにフィットするシェル」だと、彼は説明する。ソフトトップでは宇宙までは飛べません、と。

クーペが放つSF的な雰囲気は、スパイダーでは控えめ。斜め上から眺めると見惚れるほど美しい、デルタ状のリアウイングは備わらないが、上級グランドツアラーらしい、よりエレガントな佇まいにあることは明白だろう。
ロングノーズのプロポーションは、存在感も抜群。全長4733mm、全幅1980mm、全高1292mmというサイズ以上に、視線を集めるはず。
競合のコンバーチブルより使える荷室
キャビンは、クーペと同じく完全な2シーター。+2ではないから、シート後方の空間は限定的で、小物類はドア側のポケットか、センターアームレストのボックスへしまうことになる。充分な大きさの、グローブボックスも利用できる。
リア側には、クーペより25%狭いが、200Lの収納もある。ベントレー・コンチネンタル GTCやアストン マーティン・ヴァンキッシュ・ヴォランテより、実際には使いやすい形状で、小さなスーツケースなら収容できる。これ1台で、日常を賄うことも可能だろう。

運転席の居心地の良さや高級感、人間工学的な水準は、ヴァンキッシュ・ヴォランテに並び非常に高い。コンチネンタル GTCの方が、更に上にあるけれど。
シートは柔らかく身体を支えてくれ、運転姿勢に違和感なし。ただし、調整域はさほど広くはなく、身長190cmの場合、理想的な低さへ座面を落とすことはできなかった。



















































































































