【ディーゼルからガソリンへ】アウディSQ8 TFSI フォアシュプルングに試乗 技術満載のSUV

公開 : 2021.07.23 08:25

高度なエンジンとシャシー技術を採用し、従来的な高級車のレシピながらも新しいアウディらしい仕上がりだと、英国編集部は評価します。

ポルシェ設計のV8ツインターボ・ガソリンへ

text:Matt Saunders(マット・ソーンダース)
translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)

 
アウディSQ8 TFSI フォアシュプルングは、トラディショナルな魅力を感じさせる。高い技術を投入し、可能な限りラグジュアリーなクルマを作ろうという、ブランドの気概を感じさせる。

聞こえはシンプルではある。しかし、下位グレードに搭載するエンジンや、純EVという発展途上のモデル開発を進める時、フォアシュプルング・ドゥルヒ・テヒニーク、技術での革新を掲げてきたブランドは、少し進路を見誤ることもあるようだ。

アウディSQ8 TFSI フォアシュプルング(英国仕様)
アウディSQ8 TFSI フォアシュプルング(英国仕様)

幸運にも、そんなことは一部のみ。高性能なSモデルのエンジンをガソリンからディーゼルへ切り替え、CO2の排出量を削減することを狙った時も、すべてに適用されたわけではない。 S8とS3、SQ2、TT Sは、ガソリンターボのままだたった。

そして、アメリカ市場へ打って出る大型SUVのSQ7とSQ8は、ディーゼルからガソリンへ切り替えられた。これでこそアウディだ。

最新のSQ8では、435psを発揮する4.0L V8ツインターボ・ディーゼルが、グループ内のポルシェが設計したEA825型4.0L V8ツインターボ・ガソリンへ置き換わっている。

このユニットは様々なチューニングが施され、ポルシェだけでなくベントラーやランボルギーニ、アウディのRSモデルにも搭載される実力派。SQ8では若干デチューンされたとはいえ、507psを発揮する。

0-100km/h加速に要する時間は、従来の4.8秒から4.1秒へ大幅に短縮している。同時にWLTP値での燃費は、12.8km/Lから7.8km/Lへと大幅にダウンもしている。

求めれば巨大なホットハッチのように

ランニングコストを考えると、SQ8 TDIは頻繁に利用できたが、SQ8 TFSIではそうもいかないと感じるオーナーもいるかもしれない。だがアウディは、高級SUV市場の成長はガソリンエンジンが支えていると考えている。

実際のところ、SQ8を購入する余裕がある人は、燃費のことは余り気にしないのだろう。10.0km/Lでも、7.0km/Lでも。従来のSQ8を所有することで燃費以外のメリットを感じていたのなら、新しいSQ8にも惹かれるはず。

アウディSQ8 TFSI フォアシュプルング(英国仕様)
アウディSQ8 TFSI フォアシュプルング(英国仕様)

4.0LのV8ツインターボ・ガソリンは、素晴らしいエンジンだ。ドライブモードを切り替えれば、超が付くほど洗練された走りから、威嚇するようなサウンドを放つ活発な走りまで、多様性を楽しめる。

アクセルレスポンスは非常に鋭く、積極的に回りたがる。車重2.3tのSUVとの爽快な暮らしに不足ない、豊満な音響も味わわせてくれる。

ダイナミック・モードを選択し、ステアリングホイールのシフトパドルを弾けば、無愛想な感じでサクサクと変速する。ドライバーの高ぶる気持ちと、SQ8との距離を少し近づけてくれる。

操縦性は、エンジンのキャラクターと一致している。能力は極めて高いものの、どこかフィルターが掛かった印象。大きなSUVを積極的に走らせられるが、完全な一体感は得られず、少し他人行儀的だ。

クルージング時はリムジンのように快適。ひとたびドライバーが求めれば、巨大な四輪駆動のホットハッチのように、フラットに素早くコーナーを縫っていく。滑りやすい路面でも、ラインはピタリと乱さない。

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