大成功の大改造? フィアット500 ハイブリッド(2) 想像以上に面白い65ps 6速MTのみ

公開 : 2025.12.09 18:10

エンジンと燃料タンクを得た新型500 オリジナルへ通じる雰囲気そのまま ソリッド感が増した内装 65km/hまでは意欲的 高速道路は不得意 想像以上に運転が面白い UK編集部が試乗

65km/hまでは意欲的 高速道路は不得意

手早く開発されたフィアット500 ハイブリッドだが、仕上りは褒められる。1.2L 3気筒のファイアフライ・ユニットは、2000rpmから充分なトルクを生み出す。アクセルペダルを踏み込んでも、ノイズが大きくなる反面、パワーがみなぎることはないが。

6速MTはギア比がクロスし、65km/h程度までは意欲的に速度が高まる。だが、それ以上では勢いが鈍り、高速道路は得意とはいえないだろう。0-100km/h加速には16.2秒掛かるという。カブリオレは重く、17.3秒を要する。

フィアット500 ハイブリッド・トリノ(欧州仕様)
フィアット500 ハイブリッド・トリノ(欧州仕様)

ハイブリッドは、電圧12Vのスターター・ジェネレーター(ISG)による「マイルド」なシステム。低回転域を除いて電動アシストのパワー感はなく、回生ブレーキの実感も薄い。少なくとも、アイドリングストップ機能は素早く反応してくれる。

音響的な魅力は今ひとつ。回転数を引っ張っても、機械的な響きが増すだけで、耳障りに思えてくる。振動も小さくない。

先代より快適 想像以上に運転が面白い

6速MTは、シフトレバーのストロークが長め。丸いノブは握りやすいが、スパスパとギアを変えられるわけではない。

ステアリングは、フィードバックが少ないものの、指先で軽く回せ反応は正確。滑らかにライン取りしやすく、シャシーやパワートレインの能力を引き出しやすい。

フィアット500 ハイブリッド・トリノ(欧州仕様)
フィアット500 ハイブリッド・トリノ(欧州仕様)

乗り心地は、イタリア・トリノの石畳でも悪くない。大きな衝撃でも、しっかり角が丸められ、先代より遥かに快適といっていい。そのかわり、カーブではボディロールが大きめ。ワインディングを飛ばすと、接地感が乏しく思える。

都心部をキビキビ走り回るような乗り方なら、バランスは良好。流れの速い幹線道路にも、問題なく対応できる。そもそも、500とはそんなハッチバックだった。実際は、想像以上に運転が面白い。

市街地では余り伸びない燃費

燃費は、カタログ値で19.2km/Lがうたわれる。トリノの市街地や高速道路などを複合的に走らせた今回は、平均で16.9km/Lという結果を得られた。ハイブリッドの効果が低く、市街地では余り伸びないようだ。

ちなみに、同じエンジンを積む、先代のハイブリッドより燃費は若干良くない。車重が86kg増えたことが主な原因だろう。

フィアット500 ハイブリッド・トリノ(欧州仕様)
フィアット500 ハイブリッド・トリノ(欧州仕様)

肝心のお値段だが、英国では、約1万9000ポンド(約388万円)からになる見込み。恐らく、グレートブリテン島では最も安価な量産車の1台になるはず。

記事に関わった人々

  • 執筆

    チャーリー・マーティン

    Charlie Martin

    役職:編集アシスタント
    2022年よりAUTOCARに加わり、ニュースデスクの一員として、新車発表や業界イベントの報道において重要な役割を担っている。印刷版やオンライン版の記事を執筆し、暇さえあればフィアット・パンダ100HP の故障について愚痴をこぼしている。産業界や社会問題に関するテーマを得意とする。これまで運転した中で最高のクルマはアルピーヌ A110 GTだが、自分には手が出せない価格であることが唯一の不満。
  • 翻訳

    中嶋けんじ

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

フィアット500 ハイブリッドの前後関係

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