EV版と同じ新ボディで復活! フィアット500 ハイブリッド(1) 期待のハードを概説

公開 : 2025.12.09 18:05

エンジンと燃料タンクを得た新型500 オリジナルへ通じる雰囲気そのまま ソリッド感が増した内装 65km/hまでは意欲的 高速道路は不得意 想像以上に運転が面白い UK編集部が試乗

1.0L 3気筒エンジンとガソリンタンクに交換

イタリアの巨人、フィアットといえども、バッテリーEVの不振には耐えられなかったらしい。2024年8月に、従来のエンジン版500は生産が終了。新しい500eへ順次乗り換えてもらえると期待されたものの、思惑通りにはならなかった。

500eには在庫が生まれ、トリノのミラフィオーリ工場は操業を停止。従業員は一時解雇に迫られた。フィアット・ヨーロッパを率いるガエターノ・トレル氏は、EVのみへのシフトを自殺行為だと認めている。

フィアット500 ハイブリッド・トリノ(欧州仕様)
フィアット500 ハイブリッド・トリノ(欧州仕様)

果たしてフィアットは、500eへ大改良を加え、スターター・ジェネレーター(ISG)付きのエンジンで走る、500 ハイブリッドを生み出した。開発は2年で終えられ、前後にサブフレームを追加しつつ、同じトリノの工場で生産が可能だという。

パワートレインは、65psの1.0L 3気筒エンジンと6速MT。駆動用バッテリーは、ガソリンタンクに交換されている。フィアット・グランデ・パンダに載る1.2Lユニットは、小さなボンネット下には収まらなかったらしい。なお、ATは選べない。

ヌォーヴァ500へ通じる雰囲気はそのまま

スタイリングは、500eとほぼ同じ。先代の500と似ているものの、並べると遥かにモダンなことがわかる。エンジンを冷却するため、フロントノーズのロゴ下へ、エアインテークが追加された程度。テールパイプは目立たない。

3ドアボディの全長は3632mmしかなく、狭い駐車場でも駐車は簡単。1957年発売のアイコン、ヌォーヴァ500へ通じる雰囲気は、しっかり受け継がれている。

フィアット500 ハイブリッド・トリノ(欧州仕様)
フィアット500 ハイブリッド・トリノ(欧州仕様)

エントリーグレードでも、16インチのアルミホイールにLEDヘッドライト、バックセンサーなど装備は充実。シートはクロス張りになる。トップグレードでは、17インチホイールに合成皮革張りのヒーター内蔵シート、バックカメラなどを得る。

ソリッド感が増したインテリア

インテリアは幾何学的なデザインで、先代よりソリッド感が増した印象。ダッシュボード中央には10.25インチのタッチモニターが載り、アップル・カープレイとアンドロイド・オートに標準で対応する。画面はレイアウトが込み入っているものの、反応は良い。

メーター用モニターには、タコメーターが大きく描かれ、その中央へスピードの数字。ステアリングホイールの角度によっては、部分的に隠れてしまう。試乗車は、座面の高さを変えることができなかった。しっくり来る運転姿勢を、探せない人はいるだろう。

フィアット500 ハイブリッド・トリノ(欧州仕様)
フィアット500 ハイブリッド・トリノ(欧州仕様)

試乗した左ハンドルの場合は問題ないものの、右ハンドルの場合、クラッチペダルの位置が窮屈かもしれない。500eの足元を思い出す限り。

運転席からの前方視界は良好ながら、リアピラーが太く、斜め後方は死角が小さくない。大きなサイドミラーが役に立つ。ドアハンドルは、慣れるまで使いにくく感じた。

記事に関わった人々

  • 執筆

    チャーリー・マーティン

    Charlie Martin

    役職:編集アシスタント
    2022年よりAUTOCARに加わり、ニュースデスクの一員として、新車発表や業界イベントの報道において重要な役割を担っている。印刷版やオンライン版の記事を執筆し、暇さえあればフィアット・パンダ100HP の故障について愚痴をこぼしている。産業界や社会問題に関するテーマを得意とする。これまで運転した中で最高のクルマはアルピーヌ A110 GTだが、自分には手が出せない価格であることが唯一の不満。
  • 翻訳

    中嶋けんじ

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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