ジャガーF-タイプ・クーペ

公開 : 2014.03.20 22:30  更新 : 2017.05.29 18:38

■どんなクルマ?

最も安く手に入るジャガーF-タイプが、このスタンダードなクーペだ。コンバーチブルはベース・モデルであっても£60,000(約1,000万円)であったことを考えると、£50,000(約850万円)強のプライスの付けられたエントリー・レベルのクーペは、非常に良心的なモデルということもできる。そして、このスタンダードなクーペは、最も軽量で、しかもシンプルなベスト・ルッキングなF-タイプでもあるのだ。

このクーペがコンバーチブルよりも優れているのは、ルーフを得たためにボディ剛性が飛躍的にアップしたことだ。コンバーチブルでも剛性不足を感じることはなかったが、そのコンバーチブルに対して80%も剛性が上がっているのだ。そのため、サスペンションのレートを上げた上で再調整し、ステアリング・レスポンスを向上させることができたのである。

クーペはコンバーチブルよりもドライバーに集中したモデルということもできる。確かに、このエントリー・レベルのクーペは他のモデルに比べてパワーがないかもしれない。しかし、340psを叩き出す3.0ℓのスーパーチャージャー付きV6ユニットは、1577kgのボディに対して充分なパワーであり、これが何でもない普通のエンジンというわけではない。0-100km/h加速は5.1秒。しかも燃費も良い。公称燃費は11.4km/ℓであり、実際にも8.6km/ℓあたりをマークする。

■どんな感じ?

スーパーチャージャー付きのエンジンは非常に活発な印象で、8速のZF製オートマティックとの相性もよい。そのため、幅広い領域でパワーを使うことができる。確かに、爆発的なパワーを持ったクルマではないが、一般公道を走ることの許されたほとんどのクルマよりもクイックなフィーリングだ。

スロットル・レスポンスも印象的なほどにスムーズで、スポーティなエンジン・サウンドも魅力だ。確かに、そのサウンドは、より強力なV6Sと比べればおとなしいかもしれないが、V6Sは£10,000(170万円)も高価なのだ。

また、スポーツ・モードにしておけば、スロットル・ペダルの動きに鋭く反応し、素早いキックダウンをしてくれるギアボックスも快適な装備だ。

このエントリー・モデルには、リミテッド・スリップ・ディファレンシャルは装備されず、プレーンなシャシーが設定されている。しかし、その低い重心と、完璧な前後重量配分は、このクルマを輝いたものにするのに充分だ。このクルマには複雑な電子制御は不要かもしれない。オーバーステアも見事の抑えられており、コーナーではわずかなアンダーステアという理想的な特性を見せる。

上位モデルにはカーボン・セラミックもオプションとして用意されるが、このF-タイプ・クーペに標準となっているスティール製の4輪ディスクでも充分な効きを示してくれた。

キャビンはすでにわれわれの知るところとなったコンバーチブルと大きな違いはない。シートは硬いがサポートにすぐれ、ほとんどのドライバーが快適なドライビング・ポジションをとることが可能なものである。

■「買い」か?

このエントリー・モデルには18インチのアロイ・ホイールが標準となる。もしあなたのある程度の余裕があるのであれあ、これを19インチにするのが賢明かもしれない。リミテッド・スリップ・デフがないことに不満を感じるだろうか。あなたが例外的に優れたドライビング・スキルを持っていて、そして同じ道路状況で、リミテッド・スリップ・デフの付いたモデルと付いていないモデルを乗り比べたのなら、その必要性を感じるかもしれない。というぐらい、重要でないことなのだ。

肝心な点は、F-タイプが欲しいとしている人にとって、もし予算がないとすれば、この340psのクーペ・モデルは他にない選択肢となるということだ。

(スティーブ・クロプリー)

ジャガーF-タイプ・クーペ

価格 £51,235(866万円)
最高速度 260km/h
0-100km/h加速 5.1秒
燃費 11.4km/ℓ
CO2排出量 205g/km
乾燥重量 1577kg
エンジン V型6気筒2995ccスーパーチャージャー
最高出力 340ps/6500rpm
最大トルク 45.9kg-m/3500-5000rpm
ギアボックス 8速オートマティック

▶ 海外初試乗 / ジャガーF-タイプRクーペ
▶ 海外初試乗 / ジャガーF-タイプSクーペ
▶ 海外初試乗 / ジャガーF-タイプRクーペ・プロトタイプ
▶ 海外初試乗 / ジャガーF-タイプRコンバーチブル
▶ 海外初試乗 / ジャガーF-タイプSコンバーチブル
▶ 海外初試乗 / ジャガーF-タイプ・コンバーチブル

おすすめ記事

 
最新試乗記