固定サスでも驚くほど乗り心地は良好

ステアリングホイールのスポークに用意されたタッチセンサーへ触れてオンにすると、SF90はハイブリッド・モードで起動する。これがデフォルト。エンジンは眠ったままだが、合成音が車内にパイプを通じて届けられる。

駆動用モーターが滑らかに、直感的にフェラーリを発進させる。ステアリングホイールの感触は繊細。前方視界は広く見通せ、運転はしやすい。

EVモードとなるeドライブ・モードを選択しない限り、フロントの駆動用モーターの合計出力、135psを超える加速力を求めればV8エンジンへ火が入る。駆動用バッテリーの残量が少なくなっても同様だ。

エンジンは、エグゾースト内のバルブが全開となる、コールドスタート状態で目覚める。お察しできる読者も多いと思うが、つまり、始動直後はかなり騒がしい。

この時点で、SF90 ストラダーレの3基のモーターと1基のエンジンがすべて稼働状態となる。システム合計で1000psの最高出力と、81.4kg-mの最大トルクを公道で楽しめるようになる。

とはいえ、いきなり1000馬力を展開するのは焦りすぎ。市街地を進んでいると、驚くほど乗り心地が良好なことに、まず感心させられた。アセット・フィオラーノ・パッケージの固定サスペンションでも。

確かに継ぎ接ぎの多いような区間では振動を抑えきれないし、高速道路に入れば小さくないノイズが車内に充満する。しかし比較的車重のかさむフェラーリのボディは巧みに支持され、動きには滑らかさがある。

この続きは後編にて。

画像　1000psのPHEV　フェラーリSF90 ストラダーレ　パフォーマンスモデルと比較　全178枚