5.5L V12は「基本的にタフ」! 550 マラネロ UK版中古車ガイド(2) 驚異的な旋回スピード

公開 : 2024.04.13 17:46

21世紀の到来へ合わせるように登場した、志向のグランドツアラー F512 Mより3.5秒速くフィオラノを周回 驚異的な旋回スピードに圧倒 英国編集部が魅力を再確認

基本的にタフな設計の5.5L V型12気筒

クラシック・フェラーリとして、注目度は上昇傾向にある550 マラネロ。長期間ガレージで保管されてきた例より、定期的に公道で乗られてきた例の方が、初期のメンテナンス費用は抑えられる可能性が高い。

4カム48バルブのV型12気筒エンジンは、550 マラネロのリリースまでにアップデートを受けており、ボッシュ・モトロニック社製インジェクションとECUの制御下で485psを発揮。低回転域から滑らかに吹け上がり、4000rpm以上でパワーが炸裂する。

フェラーリ550 マラネロ(1996〜2002年/英国仕様)
フェラーリ550 マラネロ(1996〜2002年/英国仕様)

当時の試乗評価で指摘された唯一の弱点は、燃費だけだった。基本的にタフな設計ではあるが、念のため包括的な点検・整備を正規ディーラーや専門ショップで受けることをオススメしたい。

その予算は、英国では最低でも3000ポンド(約57万円)程度は必要。状態にもよるが、1万ポンド(約189万円)前後を用意しておいた方が、万が一の修理にも対応できる。

また予め、あらゆる箇所からの液体漏れがないか確かめたい。主なチェックポイントは、パワーステアリングラックのパワステフルード漏れ、エンジンのバンク部分からのラジエタークーラント漏れ、エンジン上部や後端からのエンジンオイル漏れなど。

トランスミッション・フルードクーラーからの、フルード漏れも要観察。1997年式から1998年式の場合は、燃料タンクからのガソリン漏れにも注意したい。走行時にエンジンから不自然な振動が出る場合は、クランクプーリーの故障が疑われる。

驚異的なコーナリングスピードに圧倒される

クラッチは、普通に乗っていれば8万km程度は交換不要。シフトレバーは、冷間時に動きが渋くなる場合は珍しいものの、温まるまでは2速だけ硬くなることはあるようだ。

550 マラネロでも、多くのフェラーリのように、アフターマーケット製のエグゾーストシステムが組まれていることが珍しくない。触媒が備わらないアイテムは、車検に通らないので注意したい。

フェラーリ550 マラネロ(1996〜2002年/英国仕様)
フェラーリ550 マラネロ(1996〜2002年/英国仕様)

タイヤは、丁寧に走らせれば2万km前後は使えるが、積極的に扱えば早く摩耗する。18インチのピレリPゼロで、フロントは225/40、リアが295/35というサイズだ。適切な承認アイテムを履きたいところ。

キーは、フォブ部分がブラックのものが2本、レッドのコントローラー付きが1本、合計3本付いていることを確かめる。特にレッドのキーがない場合、アラームのコーディングに大きな費用がかかってしまう。

エアバッグの警告灯が消えない場合は、バッテリーの不調が原因かもしれない。これは比較的安価に交換できる。

本調子なら、操縦性は完璧。ブレーキは揺るぎない。シャシーバランスは秀抜で、コーナリングスピードは驚異的に高い。それでいて、足回りは柔軟に動き、乗り心地は素晴らしい。グランドツアラーとして、走行中の車内は思いのほか静かでもある。

さも当然のように高速で突き進み、目的地まで極めて短時間で安楽に到着できることを知れば、上品な550 マラネロへ圧倒されるに違いない。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マルコム・マッケイ

    Malcolm Mckay

    英国編集部ライター
  • 撮影

    ジェームズ・マン

    James Mann

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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