【詳細データテスト】プジョー308 軽量さが生きる動力性能 期待どおりのハンドリング 後席は狭い

公開 : 2022.06.11 20:25  更新 : 2022.07.11 07:51

結論 ★★★★★★★★☆☆

今回のテスト、はたして80年代や90年代にいまのプジョーの名声を築きあげた走りの魔力が帰ってきたのか、それを確かめたいと思いつつスタートした。最近のプジョーの中では、308がそのもっとも有望な候補だったからだ。

十分に無駄を削ぎ落としシンプルに仕立てられたファミリーカーの中では、プジョーはいまでも乗り心地とハンドリングにおいて、世界でもトップクラスのファミリーカーでなければ破れないような基準を打ち立てている。無駄に重くて複雑なクルマがあふれるマーケットにあって、それは心強い話だ。

結論:古き佳きプジョーのマジックを思い出させる。小さく、しなやかで、ちょっとだけスペシャルだ。
結論:古き佳きプジョーのマジックを思い出させる。小さく、しなやかで、ちょっとだけスペシャルだ。    LUC LACEY

今回の3代目308は、全体的にみればこのクラスのトップの座に就けるほど完璧な物件ではない。しかし、プライオリティを置いている項目については、満足できるものがある。

内外装ともスマートなルックスで、惹きつけられるものがある。走りの洗練性や気持ちよさは、コンディションの良し悪しを問わない。パワートレインは、日常使いに適したドライバビリティと経済性をハイレベルで両立している。

そして、この効率偏重の時代の水準に照らしても、妥当といえる仕上がりだ。乗り心地とハンドリングには変わりやすいところがはっきりと見て取れるものの、あまり類がなく魅力的に思えるような融通のきくパワートレインを積んでいる。

実用性やコストパフォーマンス、もしくはステータスを求めるユーザーにとっては、もっといい選択肢があるかもしれない。しかしながら、コンパクトでトラディショナルなファミリー向けハッチバック、つまりはこのクラスの王者であるゴルフが大きくて特別なものになってしまったと感じているなら、308はピッタリの一台ではないだろうか。

担当テスターのアドバイス

サイモン・デイヴィス

308のステアリングホイールは楕円気味の形状で、おそらく直進時にはメーターの視認性向上に寄与する。しかし、ラウンドアバウトなどで大きな舵角が入ると、出口とメーターとを同時に見ることができなくなる。

マット・ソーンダース

身長が190cmあるので、Cセグメントハッチバックの後席で快適に過ごせることはめったにない。308に関して言えば、うちの7歳と9歳の子供を乗せるには十分な広さだが、それより歳が上の家族を乗せたいとは思わない。

オプション追加のアドバイス

選ぶべきはピュアテックエンジンのアリュール・プレミアム。その上のグレードは装備過多だ。どうしてもハイブリッドが必要なら、ハイブリッド180の廉価グレードで満足できるはずだ。

改善してほしいポイント

・後席の居住スペースは、できるだけ広げてほしいところだ。
・ギアボックスの制御をもっとリファインしてもらいたい。エフィシエント・オートが、常に可能な限り高いギアを選ぶこととイコールである必要はない。
・ステアリングはもうちょっとだけ手応えとフィールを増したほうが、ドライビングが気持ちいいものになるはずだ。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    英国編集部ロードテスト・エディター
  • 執筆

    イリヤ・バプラート

    Illya Verpraet

    英国編集部ライター
  • 撮影

    リュク・レーシー

    Luc Lacey

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    関耕一郎

    Koichiro Seki

    1975年生まれ。20世紀末から自動車誌編集に携わり「AUTOCAR JAPAN」にも参加。その後はスポーツ/サブカルチャー/グルメ/美容など節操なく執筆や編集を経験するも結局は自動車ライターに落ち着く。目下の悩みは、折り込みチラシやファミレスのメニューにも無意識で誤植を探してしまう職業病。至福の空間は、いいクルマの運転席と台所と釣り場。

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