【詳細データテスト】プジョー308 軽量さが生きる動力性能 期待どおりのハンドリング 後席は狭い

公開 : 2022.06.11 20:25  更新 : 2022.07.11 07:51

内装 ★★★★★★★☆☆☆

プジョーの独特な操縦系の設計思想であるiコックピットは、導入されて今年で10年が経ち、いまや全モデルに採用されている。ドライビングポジションは高めで、小さめのステアリングホイールが低く、計器盤が高く設置されている。これは、普通の操縦系のレイアウトを再定義しようというもので、プジョーの「ほかとは違う」という主張でもある。

このエルゴノミクスが用いられ続けてきた間に、昔ながらの慣習は多くが犠牲になってきた。一般的には速度計が右、回転計が左だが、2013年に登場した先代308ではそれが逆になった。今回は回転計が反時計回りになったが、iコックピットではこちらのほうが読み取りやすいと判断したのだろう。

質感が高まったことだけでなく、ようやく右ハンドルでもまともな収納スペースを得られるようになったことも評価したい。しかし、後席は大人が乗るのに十分な広さを備えていない。
質感が高まったことだけでなく、ようやく右ハンドルでもまともな収納スペースを得られるようになったことも評価したい。しかし、後席は大人が乗るのに十分な広さを備えていない。    LUC LACEY

われわれとしては、これが直感的だとは思わないが、デジタルメーターが標準装備されるにもかかわらず、このメーターの方向性は新型308にも受け継がれている。

10年間で見慣れたはずなのに、テスター陣の多くが、やはりこのレイアウトを直感的ではないという。また、小径ステアリングホイールであってもハンドリングに利点は少ないという意見も大勢を占める。さらに、ステアリングホイールがかからないメーターの眺めも、べつに喜ぶようなものではない、という声も共通している。

それはともかく、もしプジョーのデザイナーがエルゴノミクスの改革をどこかで思いとどまっていたのだとしたら、そろそろその結果が現れていてもいいはずだ。もっとも、308のそのほかの部分は、著しい進歩を遂げている。

キャビンはスマートでクッキリした幾何学的なラインで構成され、ほどほど高そうに見える金属調仕上げのトリムや魅力的なテキスタイルの装飾が与えられた。かつてプレミアムブランドに遠く及ばなかった質感は、めざましいアップグレードを果たしている。いまや308は確実に、キャビンの雰囲気的な魅力で引けを取らないものになっているのだ。

フロントシート周りの小物入れスペースは豊富に用意されるが、これはついにプジョーが、右ハンドル化に合わせてヒューズボックスを作り分けるようになったことが要因だ。おかげで、右ハンドルの308にもフルサイズのグローブボックスが備わった。

フロントシートはサポート性が良好で、十分に快適だ。ただし、背の高いドライバーは、ヘッドレストの調整幅とランバーサポートが少し足りないと思うかもしれない。

後席のアコモデーションは、クラス水準からすればやはり物足りないままだ。子どもはともかく背の高い大人では、ヘッドルームもニールームも足りない。

荷室は、開口部の段差が大きい。非ハイブリッドの容量は412Lで、ウインドウの高さより下の容積は先代308を下回るが、折り畳み式ベビーカーを積むことはできる。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    英国編集部ロードテスト・エディター
  • 執筆

    イリヤ・バプラート

    Illya Verpraet

    英国編集部ライター
  • 撮影

    リュク・レーシー

    Luc Lacey

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    関耕一郎

    Koichiro Seki

    1975年生まれ。20世紀末から自動車誌編集に携わり「AUTOCAR JAPAN」にも参加。その後はスポーツ/サブカルチャー/グルメ/美容など節操なく執筆や編集を経験するも結局は自動車ライターに落ち着く。目下の悩みは、折り込みチラシやファミレスのメニューにも無意識で誤植を探してしまう職業病。至福の空間は、いいクルマの運転席と台所と釣り場。

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