ジャガーXF R-スポーツ

公開 : 2014.07.11 23:50  更新 : 2017.05.29 18:38

■どんなクルマ?

正直な所、どうして今までこれをしなかったの? そう、思ってしまったのはわれわれだけではなかろう。その名もXF R-スポーツ。XFの性能はそのままに、スポーティなルックスを纏ったグレードである。

R-スポーツ。実にわかりやすい名前だと思う。BMWが、Mスポーツと名付け、メルセデスがAMGスポーツ名付けた。アウディだってSラインなる名前で展開している、最上級グレードの面影を得た標準モデルの進化版だと思って頂いて結構だ。

ただドイツのライバル勢の場合、’M’ や ’スポーツ’、あるいは ’S’ という名前を与えるからには、うわべだけのメイクアップだけでなく動力性能の向上も抜かりなく行っているのだけれど、今のところジャガーのそれはルックスのお化粧直しのみに留まっている。

XFRやXFR-Sからインスピレーションを受けた、フロント・バンパーとスポイラー、さらにリア・スポイラーや新しいサイド・シル、17インチ・アロイ・ホイール、チャコールの新しいインテリアが組み合わされ、内外に貼られる ’R-スポーツ’ エンブレムが、このクルマの識別ポイントだ。

トリム・レベルは163psと200psを発揮する2.2ℓのターボ・ディーゼルと、240psの3ℓV6ターボ・ディーゼルの3種類となり、セダンとワゴンの両モデルが用意される。したがってモデルの展開としては、既に成熟したM-スポーツと真っ向勝負する形となる。

■どんな感じ?

実際に運転すれば、このクルマがとても優れていることがわかる。XFは最もハンサムなセダンであることは周知の事実だけれど、R-スポーツはその美学を更に高いレベルに引き上げているのだ。2008年のデビュー以来インテリアは常々アップデートされているため、古さは感じさせず、むしろ熟成されたと形容する方が適切だと言えよう。さらにこのグレードは、チャコールのR-スポーツ・トリムへの変更を受けているため、エレガンスさに加えてスポーティなエッセンスも持ちあわせるに至った。

動力性能には変更が加えられていないのは先述のとおり。しかしながら、だからとも言うべきか、改めてXFの持つ潜在的な力に惚れ直すことになった。17インチの低転がり抵抗を履いているにも関わらず、てきぱきとしたステアリングに、なめらかな乗り心地を提供してくれるこのクルマは、幾たびものコーナーを抜けるたびに筆者をうっとりとさせるのだった。

ルックス以外に手を入れられていないことを手放しに受け入れる訳にはいかないのだが、素性が優れるだけに動力性能アップのためのオプションは将来的に用意してくれればいいだろう。

既にお馴染みのドライブ・トレインは高速巡航にも何ら問題はなく、高速道路ならば17.7km/ℓは堅いだろう。低速でアクセルを力強く踏み込めば、エンジンからは唸りとも言える音が鳴るのは無視しがたい。また高速道路などで前を行くクルマとの距離が空いた時などにアクセルを踏み込んだ瞬間の、オートマティック・トランスミッションの引き起こすタイム・ラグに対しては引き続き改善を求めたい。

■「買い」か?

ハンサムかつ、マナー善し。見た目も走りも良いXF R-スポーツを買わない理由はない。

BMW 520d Mスポーツなど素晴しいクルマも他にはある。運動神経も経済性もXF R-スポーツより高いことは紛れもない事実だ。しかしながら520dを買おうと思えば、あと£2,500(37万円)もの金額を上乗せしなければならない。

その点XFはデビュー以来、歳を重ねていることを感じさせるどころか、さらに成熟し、その素晴らしさに磨きが掛かっているのである。したがって買いだ。

(マーク・ティショー)

ジャガーXF R-スポーツ

価格 £33,995(590万円)
最高速度 210km/h
0-100km/h加速 9.8秒
燃費 20.4km/ℓ
CO2排出量 129g/km
乾燥重量 1735kg
エンジン 直列4気筒2179ccターボ・ディーゼル
最高出力 163ps/3500rpm
最大トルク 40.8kg-m/2000-5500rpm
ギアボックス 8速オートマティック

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