過去最高の「訴求力」 ジャガーXF D200へ最後の試乗 優雅な見た目 FRらしい充足の走り

公開 : 2024.10.19 19:05

ジャガーを救ったビッグサルーンが、最後のアップデート 3シリーズに並ぶ英国価格 優雅さを増したボディ 大幅に向上した内装の質感 充足感の高いFRの操縦性 英編集部が評価

3シリーズに並ぶ英国価格 優雅さを増したボディ

ブランドを立て直すために生まれたビッグサルーン、XF。美しいスタイリングとクラス最高の操縦性、競争力の高い価格設定などが評価され、主力モデルへすぐに躍り出た。

最新仕様では、スタイリングを僅かに変更。インテリアの質感を高め、新しいインフォテインメント・システムを獲得している。だが、本来の強みはブレていない。

ジャガーXF(英国仕様)
ジャガーXF(英国仕様)

ジャガーがひと回り小さいサルーン、XEとともに、XFの英国価格を大幅に引き下げたのは2021年。グレートブリテン島では、同等の動力性能を持つBMW 3シリーズメルセデス・ベンツCクラスより、約1万ポンド(約192万円)も安く設定された。

実用性に優れる、ステーションワゴンのXF スポーツブレークも。コスパは抜群といっていい。

高度なデジタル技術の普及と、バッテリーEVへのシフトが進む中で、最新XFの競争力はどの程度だったのか。生産終了を迎える今、改めて確かめてみたい。

XFのスタイリング的な変化は、流線型を強めたフロントマスクと、存在感を増したリアのディフューザー、Fタイプへ近づけられたヘッドライトなど。アルミホイールも、デザインが新しくなった。従来上のエレガントさを感じると思う。

プラットフォームは、ジャガーのD7aと呼ばれるもの。同社のSUV、Fペイスや、ランドローバーレンジローバー・ヴェラールとも共有する。ボディサイズは全長4962mm、全幅1890mm、全高1456mmと、BMW 5シリーズなどに近い。

大幅に向上した内装の質感 荷室は狭め

ドアを開くと、当初から車内の高級感が大幅に向上したことへ気付く。丁寧な細工で、鈍く輝くクロームメッキ・トリムが上品。ステアリングホイールやセンターコンソールに並ぶスイッチ類の製造品質も、確実に良くなっている。

インフォテインメントは、ピヴィプロと呼ばれるシステムで、アップル・カープレイとアンドロイド・オートに対応。タッチモニターは11.4インチあり、緩くカーブし、ダッシュボードのラインへぴったりフィットしている。

ジャガーXF(英国仕様)
ジャガーXF(英国仕様)

システムは扱いやすく、安定性も高い。画面の右側にはショットカットキーが並び、頻繁に利用する機能をホーム画面へ追加できるのも嬉しい。当然のように、メーターパネルもモニター式だ。

運転席は非常に快適。高身長のドライバーの場合、ステアリングコラムは、前後方向のテレスコピックの調整域がやや狭く感じるかもしれない。シートはサポート性が高く、とても心地良い。

荷室容量は459Lと狭め。大きさが近いBMW 5シリーズは、520Lある。英国価格で近いBMW 3シリーズは、480Lだ。背もたれを倒せば、1484Lへ拡大できるが。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    役職:ロードテスト編集者
    AUTOCARの主任レビュアー。クルマを厳密かつ客観的に計測し、評価し、その詳細データを収集するテストチームの責任者でもある。クルマを完全に理解してこそ、批判する権利を得られると考えている。これまで運転した中で最高のクルマは、アリエル・アトム4。聞かれるたびに答えは変わるが、今のところは一番楽しかった。
  • 執筆

    ジョナサン・ブライス

    Jonathan Bryce

    役職:ソーシャルメディア・エグゼクティブ
    AUTOCARのSNS担当として、X、YouTubeショート、インスタグラムなどの運営を任されている。以前は新聞紙や雑誌に寄稿し、クルマへの熱い思いを書き綴っていた。現在も新車レビューの執筆を行っている。得意分野はEVや中古車のほか、『E』で始まるBMWなど。これまで運転した中で最高のクルマは、フォルクスワーゲンUp! GTI。 『鼻ぺちゃ』で間抜けなクルマだったが、家族の愛犬もそうだった。愛さずにはいられないだろう。
  • 翻訳

    中嶋けんじ

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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