ガンディーニの傑作スーパーカー ランボルギーニ・カウンタック 英国版クラシック・ガイド 前編

公開 : 2022.10.01 07:05

元祖スーパーカーの1台、カウンタック。HVの第2世代が登場した今、再び価値を高める初代を英国編集部がご紹介します。

驚異的な動力性能が優れた操縦性と融合

イタリアのカロッツェリア、ベルトーネ在籍時代のマルチェロ・ガンディーニ氏がデザインを手掛けたランボルギーニカウンタックは、息を呑むほど素晴らしいクルマだ。尖ったカタチだけではない。

「素晴らしい設計が施されています。驚異的な動力性能が、優れたハンドリングとグリップ力、ブレーキ性能などと融合。驚くほど見事なパッケージングです」。と、当時の自動車誌は褒め称えている。

ランボルギーニ・カウンタック(1974〜1990年/英国仕様)
ランボルギーニ・カウンタック(1974〜1990年/英国仕様)

特長といえるのが、V型12気筒エンジンをミドシップし、そのフロント側にトランスミッションが位置するレイアウト。ギアで減速されると後方へ折り返し、エンジンのオイルサンプを貫通するドライブシャフトを介してリアデフへ伝達。タイヤを駆動した。

車両中央に集約されたドライブトレインによって、エンジン後方のテール部分には想像以上に大きい荷室を設けることができていた。フロントのボンネット内や、シートの後方にもちょっとした鞄をしまえる空間がある。

ほぼ垂直に跳ね上がるシザーズドアは、駐車場で見事なショータイムを演出するだけでなく、悪くない乗降性も叶えている。しかし、燃料タンクが内蔵されるサイドシルは幅が広く、格好良く乗り降りするには何度か練習が必要だろう。

経営難の16年間に約2000台を生産

当初のアイデアではルーフ中央がえぐられ、高い位置に付いたペリスコープ(潜望鏡)ミラーの視界を得ていた。だがLP400では一般的なミラーとなり、車高の低いLP400Sではルーフもフラットに。頭上空間を広くするため、1980年以降はルーフが高くなった。

またコンセプトカーから量産モデル化するに当たり、ボディサイドにはNACAダクトを、サイドガラス後方には大きなエアインテークが追加されている。不足ない冷却性能も得ていた。

ランボルギーニ・カウンタック(1974〜1990年/英国仕様)
ランボルギーニ・カウンタック(1974〜1990年/英国仕様)

1978年のLP400Sでは、幅の広いタイヤとホイール、ホイールアーチのエクステンショナーとリアウイングが標準装備された。これらはオプションとして「S」以外でも選択できたが、後方視界を制限し、空気抵抗を増大させるアイテムでもあった。

大きなリアタイヤも抵抗を加算。見た目の迫力は増すものの、最高速度は16km/h程度低くなってしまう。

経営が難しい状態にあったランボルギーニは、カウンタックを16年も生産した。その間に6度も倒産し経営者が変わっているが、スーパーカーのアップグレードは何度も繰り返されている。

生産数の正確な記録はないようだが、1484台から2042台の間といわれる。少なくとも右ハンドル車が238台生産され、オラチオ・パガーニ氏がスタイリングに手を加えた25thアニバーサリーが最も多くラインオフしたことは間違いない。

エンジンが4バルブ化され、カウンタックでは最も運転しやすいといわれるクアトロバルボーレが、その次に生産数は多い。初期のナローボディは希少で、オリジナルのデザインという理由からコレクターの注目度は高い。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マルコム・マッケイ

    Malcolm Mckay

    英国編集部ライター
  • 撮影

    ジェームズ・マン

    James Mann

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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