物議を醸したクルマの最終評価 40選 後編 「名車」か「迷車」、結局どっち?

公開 : 2023.04.16 18:25

ルノー・ドーフィン

美点:ルノーは1950年代にぴったりな小型の欧州車、ドーフィンを作り上げた。フランスで絶大な人気を誇り、他の多くの国でも支持され(しばしば現地で生産された)、特に米国ではすぐにヒットした。北米市場におけるルノーの市場シェアは急上昇し、わずか4年で400万台を生産し、それまでの記録を塗り替えることに成功した。

難点:米国での成功は長くは続かなかった。ドーフィンは耐久性が低いとして評判になり、北米大陸で求められる走行距離にはうまく対応できなかった。ルノーは販売台数も収入も激減し、倒産寸前まで追い込まれたが、他国での人気に助けられ、1967年までドーフィンを存続させることができた。

ルノー・ドーフィン
ルノー・ドーフィン

最終評価:名車

ローバー75

美点:長い低迷期を経て、ローバーはついに輝かしい75をリリースした。そのレトロなスタイリングは一部から批判されたが、丁寧に作られた上級車であることは明らかで、自動車専門誌ではおおむね好評を博した。その後、いくつか新しい派生が登場するも、初期の印象を塗り替えるような出来事は起こらなかった。

難点:1998年10月の公式発表の際、当時ローバーを所有していたBMWのトップ、ベルント・ピシェッツリーダー氏(1948年生まれ)はプロモーションをほとんど行わず、生産性の問題や英国政府のサポート不足に不満を漏らしていた。ピシェッツリーダー氏の言うことはもっともだが、ローバーも同氏も1年半でBMWから姿を消した。75に非はなく、ローバーという会社自体が2005年に破綻したことで、史上最高のモデルになり得たもしれない75も一緒に消滅したのである。

ローバー75
ローバー75

最終評価:名車

ローバーSD1

美点:SD1は、「Auntie Rover(ローバーおばさん)」という揶揄にも似たニックネームを一蹴した。1976年に登場した量販車としては、少し古いフェラーリ・デイトナのような非凡な外観を持っている。中身は平凡だったが、定評ある3.5L V8エンジンはSD1に最適なパワートレインだった。

難点:生産開始当初は、経営陣と従業員の対立によるストライキで、何度も生産が中断された。また、粗悪車として知られるようになったことも問題だった。このようなことから、SD1は決して成功作とは言えない。メモリアルな1台だが、もっと良いクルマにできたはずだ。

ローバーSD1
ローバーSD1

最終評価:預かり

サンヨン・ロディウス(初代)

美点:ロディウスは7人乗りの巨大なMPVで、3000Lを超えるラゲッジ容量を誇っている。その実用性は折り紙付きで、贅沢しなければフォードフィエスタの上級グレードとほぼ同程度の価格で手に入れることができた。

難点:このような低価格では、洗練されたデザイン、高品質のインテリア、安全装備などは期待できない。しかし、ロディウスに対する批判のほとんどは、その奇抜な外観に向けられたものであった。このデザインを担当した英国人デザイナー、ケン・グリーンリー氏は、サンヨン(双竜自動車)の母国である韓国では理にかなっていると述べたが、すなわち他の地域では言わずもがなである。発売から4年後の2008年に行われたマイナーチェンジもあまり効果的ではなかったが、広くて安いクルマが必要な人にとって、見た目はほとんど問題にならない。

サンヨン・ロディウス(初代)
サンヨン・ロディウス(初代)

最終評価:預かり

記事に関わった人々

  • 執筆

    AUTOCAR UK

    Autocar UK

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の英国版。
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    平成4年生まれ。テレビゲームで自動車の運転を覚えた名古屋人。ひょんなことから脱サラし、自動車メディアで翻訳記事を書くことに。無鉄砲にも令和5年から【自動車ライター】を名乗る。「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。イチゴとトマトとイクラが大好物。

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