グループBマシンへ触発 MGモーター MG4 EX4コンセプトへ同乗 435psに不自然な沈黙

公開 : 2023.08.02 08:25

音響体験の欠如はバッテリーEVの課題

最初のコーナーで軽くブレーキング。アクセルペダルでバランスを整えながら、ストレート目掛けて加速していく。次のコーナーが接近しても、同様に彼はMG4 EX4コンセプトを操る。

今度はブレーキを強めにかけ、テールを僅かに流す。アクセルとブレーキで姿勢を整えながら、タイトなグッドウッドのラインを縫っていく。大勢の観客が待ち構えるメインストレートへ突っ込んでいく。

MGモーター MG4 EX4コンセプト
MGモーター MG4 EX4コンセプト

スティントが終盤に差しかかった頃、筆者はこの同乗体験に欠けているものへ気がついた。遅ればせながら。内燃エンジンのモデルなら必ず一緒といえる、凄まじいノイズがない。

回頭性はゴーカートのようにシャープ。しかし、その強烈な体験と相容れないように車内は静か。不自然にすら感じられる沈黙を、会話で埋めようとしている自分がいた。実際に体験するまで実感は湧きにくいと思うが、今までにない時間だった。

ヒョンデアイオニック5 Nやアバルト500eも、同様に静かだ。開発者はそれに気づき、少々誇張気味の人工的なエンジン音を再生する機能を与えている。好ましいと感じるかどうかは別として。

音響体験の欠如は、バッテリーEVのドライビング体験の課題としてまだ残されている。現在の技術や装置では、本物のエンジンが放つサウンドの刺激には届かない。

それでも、駆動用モーターが生む速さは圧倒される領域にあった。筆者の世界観を変えるほど。

記事に関わった人々

  • 執筆

    ジョナサン・ブライス

    Jonathan Bryce

    英国編集部。英グラスゴー大学を卒業後、モータージャーナリストを志しロンドンに移住。2022年からAUTOCARでニュース記事を担当する傍ら、SEO対策やSNSなど幅広い経験を積んでいる。
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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