グループBマシンへ触発 MGモーター MG4 EX4コンセプトへ同乗 435psに不自然な沈黙

公開 : 2023.08.02 08:25

過激だったグループBマシンに影響を受けた試作車、EX4コンセプト。MGの次章を告げるモデルの助手席へ、英編集部が同乗しました。

グループBラリーマシンのメトロをイメージ

英国で最も有名なモータースポーツ・イベント、2023年のグッドウッド・フェスティバルで、ラリーマシンに影響を受けたMGへ同乗する機会が巡ってくるとは。正直、去年の今頃は予想もしていなかった。

筆者の目の前に停まっているのは、MGモーター MG4 EX4コンセプト。1980年代の世界ラリー選手権で暴れ回ったグループBマシンを想起させる、アグレッシブな容姿が強烈なインパクトを与える。

MGモーター MG4 EX4コンセプト
MGモーター MG4 EX4コンセプト

このプロトタイプを制作したのは、フェラーリ250 SWBの見事な復刻版を手掛ける、技術力に長けたRML社。2005年からは中国企業の傘下にあるMGモーターが、歴史に刻まれた自社のモータースポーツでの栄光を振り返るべく、生み出されている。

その象徴として選ばれたのが、1984年のMGメトロ 6R4と呼ばれるグループBラリーマシン。確かに40年ほど前のオリジナルとイメージが重なる、ドラマチックな容姿が与えられている。

フロントスプリッターが、除雪車のように突き出ている。フェンダーラインは大きく膨らんでいる。リアスポイラーはボディ後端からさほど飛び出ていないが、三角の翼端板は間違いなくやる気に満ちている。

ベースは量産モデルのMG4 Xパワー

ステアリングホイールを握るのは、英国ツーリングカー選手権で優勝経験を持つ、レーシングドライバーのダン・ロウボトム氏。レーシングヘルメットの正しい被り方すら知らない筆者は、助手席にライトグリーンのハーネスで縛り付けられる。

ヘルメット越しに、BMW M3やBMW 320d ツーリングカーの印象を、ロウボトムが気兼ねなく話してくる。家族を大切にする、落ち着いた男性のようだ。

MGモーター MG4 EX4コンセプト
MGモーター MG4 EX4コンセプト

このMG4 EX4コンセプトはツインモーターのバッテリーEVで、435psの最高出力を発揮し、0-100km/h加速を3.8秒でこなす。メルセデスAMG A 45より出だしは鋭い。見た目の好き嫌いはわかれるかもしれないが、それに見合った動力性能は備えている。

ベースとなっているのは、最近MGモーターが発表した、量産モデルのMG4 Xパワー。ちなみに、最高出力は変わらない。

2人を乗せたMG4 EX4コンセプトは、MG4 Xパワーに続いてグッドウッドへコースイン。目前でスタートしたMG4 Xパワーは、5秒後には姿が見えなくなった。

すぐに、われわれがスタートする番が来る。ロウボトムがアクセルペダルを踏み込む。僅かなラグの後に、30km/h、60km/h、90km/hと速度が急上昇していく。カウントが追いつかないペースで。

記事に関わった人々

  • 執筆

    ジョナサン・ブライス

    Jonathan Bryce

    英国編集部。英グラスゴー大学を卒業後、モータージャーナリストを志しロンドンに移住。2022年からAUTOCARでニュース記事を担当する傍ら、SEO対策やSNSなど幅広い経験を積んでいる。
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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