550マラネロ・ベースの250 SWB RMLショートホイールベースへ試乗 2億6000万円超

公開 : 2022.11.24 08:25  更新 : 2022.11.30 13:27

フェラーリ250 SWBを現代技術で蘇らせたRML社。オールドスクールな味わいのレストモッド・ドライバーズカーといえそうです。

約2億6892万円のレストモッド

現代の技術でクラシックカーを蘇らせる、超高額なレストモッドの世界は市場規模を拡大している。多くの企業が独自の技術力を活かし、様々な傑作モデルをベースに展開されている。特に空冷のポルシェ911は、格好の素材になっている。

その一方で、今回のRML社のように違うプロセスを選ぶ企業もある。クラシックカーをアップデートするのではなく、過去に敬意を払いながらも完全に異なるモデルが生み出されている。

RMLショートホイールベース(欧州仕様)
RMLショートホイールベース(欧州仕様)

思わず振り返りたくなるほど美しいボディは、1960年代のフェラーリ250 SWBに似ている。しかし、その内側は比較的新しいフェラーリの部品で構成されている。もちろん、イタリアのマラネロは一切関わりを持っていない。英国で仕上げられた特別な1台だ。

AUTOCARでは2022年の春にプロトタイプへ試乗しているが、今はほぼ完成した状態にあるという。ショールームでのプライスタグは、162万ポンド(約2億6892万円)に及ぶらしい。

ちなみにオリジナルの250 SWBは、6000万ポンド(約9億9600万円)で落札された例もある超希少車だ。

驚くほどの価格だが、RMLショートホイールベースの内容を知るとある程度は理解できる。ボディはカーボンファイバー製で、深い艶を湛える塗装で仕上げられている。その曲線美は見る人の心を動かすはず。

アルミホイールは、往年のスポークホイールを模したデザインで少々好みがわかれるだろう。それでも、クルマの雰囲気には合っている。

エンジンは550マラネロ用5.5L NA V12

ドアを開くと、上質なダッシュボードにずらりとアナログメーターが並んでいる。センターコンソール上の滑らかに磨かれたオープンゲートからは、球形のシフトノブが低い位置に伸びている。

インフォテインメント用のタッチモニターはない。だが、走行中にスポティファイの音楽を聞きたいと思うドライバーは、少ないのではないだろうか。

RMLショートホイールベース(欧州仕様)
RMLショートホイールベース(欧州仕様)

妖艶なカーブを描くボンネットの内側には、フェラーリ550マラネロ用の5.5L自然空気V型12気筒エンジンが収められているのだ。最高出力は485psを発揮する。

ベース車両を探し出し、丁寧にリビルトされている。大排気量の自然空気ユニットらしく壮大なサウンドを撒き散らし、新車時のように活気に溢れている。アクセルペダルへの反応も、即時的で痛快だ。

RML独自の4本出しエグゾーストは、フルボリュームでノイズを奏でる。7000rpmへ向けて上昇する過程で、バリトンボイスから高めのテノールまで音色が変化する。時々、燃え残ったガソリンによるパラパラというパーカッションも交えて。

今回の試乗では、0-100km/h加速4.8秒を記録した。不足なく速いが、パワーデリバリーは滑らかで線形的。現代モデルのデジタルチューニングされたターボ付きユニットほど、鋭くは感じられない。

そのかわり、ストロークの長いアクセルペダルを思い切り踏み込むことを許してくれる。ショートホイールベースが秘めた可能性を探るべく。

記事に関わった人々

  • 執筆

    ジェームス・ディスデイル

    James Disdale

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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