ゴルフRに勝る加速力 MGモーター MG4 Xパワーへ試乗 ツインモーターで435ps獲得

公開 : 2023.07.31 08:25

MG 4にツインモーター仕様のXパワーが登場。電動化時代のホットハッチになりえる内容なのか、英国編集部が評価しました。

ツインモーターの四輪駆動で435ps

テスラモデルS プレイドの桁外れな加速力は惹かれる能力だが、英国価格11万3000ポンド(約1977万円)という予算は、誰しもが用意できるものではない。それでは、新しいMG4 Xパワーはいかがだろう。

パッケージングは良く練られており、実用性は同等に優れる。それでいて、テスラと比較すれば比較的お手頃なお値段で、相当な動力性能を我が物にできる。

MGモーター MG4 Xパワー(英国仕様)
MGモーター MG4 Xパワー(英国仕様)

MGモーターを傘下に収める中国のSAICモーター社は、電動ハッチバックのツインモーター仕様をリリース。MGローバー時代に生み出された400psのスポーツカー、Xパワーという名を復活させ与えた。

このMG4 Xパワーは、フロントアクスル側に203psの駆動用モーターを搭載し、リアアクスル側にも231psの駆動用モーターを積む四輪駆動。システム合計での最高出力は、435psに達する。

その結果、0-100km/h加速に必要な時間は3.8秒。英国価格が4万ポンド(約700万円)を超える、内燃エンジンのフォルクスワーゲン・ゴルフ Rより加速は鋭い。それでいて、3万6495ポンド(約638万円)に抑えられている。

このパワーに対応させるため、シャシーも強化。ブレーキには、直径345mmあるベンチレーテッドディスクを前後に採用。サスペンション・スプリングのレートは、フロントで15%、リアで10%引き締められている。

タイヤサイズもワイドになり、ステアリング系にもチューニングが施された。さらに、ブレーキ制御によるトルクベクタリング機能も実装する。

圧倒的ダッシュ力を求めるなら期待に応える

ただし、スポーツモデルにとって大切なアイテムの1つ、リミテッドスリップ・デフは搭載しない。マイクロスウェード素材で特別感が醸し出されているが、ハードなコーナリング中に身体を支持してくれる、彫りの深いスポーツシートも備わらない。

接地面が広げられたとはいえ、タイヤもブリヂストン・トゥランザ。高性能モデル向けというより、快適志向のコンパウンドといえる。

MGモーター MG4 Xパワー(英国仕様)
MGモーター MG4 Xパワー(英国仕様)

見た目の変化も限定的だろう。通常のMG4と見分けるには、実際に並べて比べなければ難しいかもしれない。

専用デザインの18インチ・アルミホイールと、グロスブラックのボディキット、ブラックに塗られたツートーン・ルーフなどが外観上での違い。インテリアでは、先出のマイクロスウェード生地のほか、ペダルがアルミニウム製になること程度だ。

レーシング・グリーンの専用塗装も設定される。試乗車のように。

羊の皮を被った狼的な、ホットなバッテリーEV(BEV)と呼べそうなMG4 Xパワー。実際、圧倒的なダッシュ力を求めるなら期待に応えてくれる。それでも、標準の後輪駆動のMG4の方が、バランスに長けたドライバーズ・ハッチバックだともいえる。

アクセルペダルを踏み込めば、背中がシートへ押し付けられる勢いで加速する。姿勢を乱すような荒々しい素振りはほぼ見せないが、路面に砂が浮いていたりフロントタイヤが直進状態でない場合、トラクションが追いつかなくなるほど。

記事に関わった人々

  • 執筆

    イリヤ・バプラート

    Illya Verpraet

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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