ビッグモーター保険不正 2006年に社長みずから会議で指示 「客にはわからんじゃろ」

公開 : 2023.08.01 11:45  更新 : 2023.08.01 14:56

中古部品を使え! 工場長はヤフオクとにらめっこ

「中古部品を使えとはよく言われていました。それが言われるようになった時期も合致していたと思います。2007年以降でしょうか」(ビッグモーター元板金部門社員)

「しかし、実際の請求や利益の計算などは工場長など責任がある立場の人がおこなうため、平社員のわたしはただただ、エコのためにとか修理代が安くなるようにとか、そういう理由で中古部品を使うんだろうと思っていましたね」

「工場長がパソコンの画面とにらめっこで、中古パーツの販売サイトで色々探していた姿も覚えています。ヤフオクなどでもパーツを探していましたよ」

「なお、中古部品といっても、なんでもかんでも安くなるわけではないみたいです。一番安いのは板金で修理することなんです。中古パーツであっても」

さて、2023年7月28日金曜日。国交省はビッグモーターが損害保険会社に保険金を不正請求していた問題で全国34の拠点へ立ち入り検査に入った。

この検査は板金工場を持つ店舗を中心に調査が入っているとのことで板金作業員1人ずつから事実確認をしていたとされる。長いところでは11時間に及ぶ立ち入り検査になった。

分解整備や電子機器の再設定等にも関わってきそうだ。国交省の立ち入り検査の結果もやがて公開されることを期待したい。

ビッグモーターに関しては、保険金不正問題以外にもたくさんの不正行為が発覚している。元社員、現社員、元幹部……そして、ビッグモーターで中古車を買った人、売った人、車検を受けたひと、元下請け業者に至るまで多数の被害報告が筆者のところには届いている。

冠水車としての告知義務に違反し堂々と販売し、返金には応じないばかりか代車のレンタカー代まで請求されている例もある。

またビッグモーターにクルマを売却したが、「修復歴が見つかった」など難癖付けられて泣く泣く減額交渉に応じて手放した例も後を絶たない。本来ならこのような不当な減額交渉に応じる必要はないのだが「キャンセルができない」などとして脅され、150万円の買い取り額が90万円になった例もある。

さらにそのクルマは少し経ってビッグモーターの店舗にて「修復歴なし」として販売されていたという。完全な詐欺ではないか。

ビッグモーターに騙された人はいったい全国で何万人いるのだろうか。すべての被害者に対して納得いく救済をすることが「再生」への第一歩であると筆者は考える。

記事に関わった人々

  • 執筆 / 撮影

    加藤久美子

    Kumiko Kato

    「クルマで悲しい目にあった人の声を伝えたい」という思いから、盗難/詐欺/横領/交通事故など物騒なテーマの執筆が近年は急増中。自動車メディア以外ではFRIDAY他週刊誌にも多数寄稿。現在の愛車は27万km走行、1998年登録のアルファ・ロメオ916スパイダー。クルマ英才教育を施してきた息子がおなかにいる時からの愛車で思い出が多すぎて手放せないのが悩み。

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