現実的な航続距離は? レクサスRZ 長期テスト(1) 過敏な運転支援システム 驚くほど運転は楽しい

公開 : 2023.09.30 20:25  更新 : 2023.10.25 08:17

レクサス初のバッテリーEV専用モデルとなるRZ 高価格帯のSUVとして充分な能力を備えるのか 英国編集部が長期テストで確認

初回 レクサスのフラッグシップ・バッテリーEV

ひと昔前なら、7万ポンド(約1267万円)も予算を準備すれば、英国では豊かなクルマ選びが可能だった。ところが、近年は新車価格が高騰中。バッテリーEVは一層お高い。しかも物価高が追い打ちをかけ、そんな予算を準備することも難しくなっている。

今回、レクサスRZの長期テストの担当者へ、英国編集部では若手に入る筆者が選ばれた。まだ乗り慣れていない、高級SUVとの距離を縮めるという目的が、上司にはあるのかもしれない。

レクサスRZ 450E タクミ(英国仕様)
レクサスRZ 450E タクミ(英国仕様)

このRZは、レクサスのフラッグシップ・バッテリーEVに当たる。コンポーネントはトヨタbZ4Xと共有するが、同社初となる、電動パワートレイン専用モデルでもある。小さなクロスオーバー、UXも存在するが、こちらにはハイブリッド版も存在する。

スペックを確認していこう。RZ 450Eはツインモーターで、最高出力は313ps。駆動用バッテリーの容量は71.4kWhあり、四輪駆動で、車重は2130kgある。

一度の充電で走れる航続距離は、404kmがうたわれる。この価格帯の電動SUVとしては、誇れるほどの数字ではないだろう。廉価ブランドなら、4万5000ポンド(約815万円)も支払えば、480km以上走れるモデルを選べる。

バッテリー技術が充分に向上していない現在では、少しでも長く走れる方が、この価格帯では有利になるといっていい。そのかわりレクサスは、「信頼感と操縦性、快適性」を前面に打ち出している。

驚くほど運転は楽しい 豪華で快適な車内

空港までの往復など、筆者は既にRZで約1700kmをともにしている。英国郊外の一般道を積極的に走らせてもみたが、驚くほど楽しく感じられた。重量を忘れさせるほど。

長期テスト車両は英国でのトップグレード、タクミではあるが、レクサスの主張どおり快適でもある。スタートボタンを押すと、記憶させたドライビングポジションへ自動的に調整される。暑い日にはシートのベンチレーション機能が働き、汗を抑えてくれる。

レクサスRZ 450E タクミと筆者、ウィル・リメル
レクサスRZ 450E タクミと筆者、ウィル・リメル

内装も豪華で、シートは環境に配慮された人工皮革で包まれている。距離や速度域を問わず、心地良い時間を過ごせる。この事実は、RZが属する価格帯では特に重要といえる。豪華なラウンジと同じくらい、安楽であることが求められる。

リアシートも同様。背もたれを好きな角度へ倒せるため、筆者が試乗したSUVの後席の中では、最も快適に感じられた。ただし、フロントシートでは感取されなかった、路面からの衝撃が僅かに伝わるようではある。

ルーフには、ボタン1つで透明度を変えられる、ガラスルーフが備わる。ダッシュボード上のタッチモニターは、14.0インチと大きい。

先述の通り、ボディサイズを考えれば走りも悪くない。タクミ・グレードにはパフォーマンスダンパーが組まれ、四輪操舵システムも備わり、軽快な操縦性を披露する。市街地でも扱いやすい。

記事に関わった人々

  • 執筆

    ウィル・リメル

    Will Rimell

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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