路上のプライベートジェット レクサスLMへ英国試乗(1) 豪華な移動ラウンジ兼オフィス

公開 : 2023.09.29 19:05

サルーンとは異なるスタイルで、高級車市場へ一石を投じるLM プライベートジェットのようなインテリア 革新的なモデルだと英国編集部は評価

目的地へストレスフリーに移動できる

レクサスが欧州市場へ導入する、巨大なLM。専ら、所有者と運転手が別の人間になるタイプのクルマだ。ドライバーズカーではないことは明らかだから、リアシートの確認から始めていこう。

ワンボックスカーへ、11万3000ポンド(約2045万円)の英国価格が与えられていることに驚くかもしれない。だが、アームチェアを倒し、48インチのモニターを立ち上げ、ミニバーのドリンクを手にすれば、理にかなった高級モデルだということがわかる。

レクサスLM(欧州仕様)
レクサスLM(欧州仕様)

目的地へストレスフリーに移動する、という目的へ焦点を合わせた時、LMは望ましい1台になるといっていいだろう。レクサスによれば、英国だけで既に170台の受注を受けたらしい。2024年を迎えるまでに、300台ほどが上乗せになる見込みだという。

殆どのLMは、4シーター仕様が指定されているとのこと。ちなみに、四輪駆動と前輪駆動が設定され、7シーターも選択できる。英国価格は、ベースグレードで8万9995ポンド(約1628万円)からとなっている。

ワンボックスのMPVとしては、間違いなく高い。しかし、メルセデス・ベンツVクラスをベースに同等のリアシートを設えるには、別途、コーチビルダーへ作業を依頼することになる。コンバージョン費用を合算すると、LMと同等以上の予算が必要になるはず。

RXと同じグローバル・アーキテクチャを採用

Vクラスは、豪華にインテリアを作り替えたとしても、ベースを商用バンと共有するという事実から逃れられない。他方、LMはSUVのレクサスRXなどと同じ、トヨタ・グローバル・アーキテクチャを基礎骨格とする。

実際、走行中の騒音や振動は低く抑えられ、乗用車のようなフィーリングを実現している。高い金額を、納得させるレベルといっていい。

レクサスLM(欧州仕様)
レクサスLM(欧州仕様)

試乗車だった4シーター仕様のタクミ・グレードは、レクサスが目指すところが最も端的に表現されたLMだろう。VIPをお迎えするショーファードリブン・ニーズへ応え、プレミアム・ブランドとしてのポジションを、より明確にする役目がある。

レクサスは、控えめなラグジュアリーさを特徴としつつも、欧州市場では過小評価されてきたと思う。シェア拡大を目指し、近年は中型SUVが前面に押し出されていた。小型SUVのLBXも、販売がスタートする。

同ブランドで最も高額なモデルになるLMは、イメージを引き上げる大役を担う。フラッグシップとして認められるには、徹底的に高級な方が良い。Vクラスや、フォルクスワーゲン・マルチバンと一緒にされることは、避けたいと考えているに違いない。

市街地での存在感は、かなり強い。モノフォルムで背の高いシルエットに、巨大なフロントグリルが与えられ、かなり目を引く佇まいにある。目の肥えた中国の富裕層に対しても、充分アピールできるだろう。新しいBMW 7シリーズのように。

記事に関わった人々

  • 執筆

    フェリックス・ペイジ

    Felix Page

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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