三菱eKワゴン

公開 : 2013.06.26 19:47  更新 : 2021.10.11 09:07

よりスポーティなテイストのeKカスタムでは、最高出力が64psとなる、659cc直列3気筒DOHC12バルブ+ターボエンジンを搭載する「T」グレードを試乗した。トールスタイルの軽自動車としての実用性は、ここまで報告してきたeKワゴンのそれとまったく変わらないが、走りの中で感じる上質感は、ターボエンジンによってさらに魅力的なものに演出されている。同じ加速を得ようと思っても、そのアクセル開度は確実に小さく、したがってeKカスタムの走りは感覚的にはきわめて滑らかな印象だ。タイヤサイズは165/55R15と、トレッド幅、そして径ともに、ほかのeKシリーズよりもワンサイズ大きなものとなるが、それでもここまでフラットで快適な乗り心地を得ているのは素晴らしい。

フロントマスクやインテリアの演出も、eKカスタムに独自のものだ。インテリアはブラックを基調に、アクセントとしてシルバーの加飾を採用。メーターパネルにはタコメーターも備えられるなど、走りへの拘りは強い。ちなみにこのeKカスタムは、先代のeKスポーツに相当するシリーズ。そのコンセプトは確実に継承されているといえるだろう。

一方、ekシリーズを通じてやや残念に思えたのは、2年後には軽自動車でも法制化される横滑り防止装置(三菱はそれをASCと呼ぶ)をはじめ、安全装備の対応がまだまだ不十分なことだろう。軽自動車では、価格が販売面で決定的な重みを持つことは否定できないが、NMKVという新しい体制から誕生した最新の軽自動車だけに、安全装備への新たな意識を明確にしてほしかったという思いも残った。

(文・山崎元裕 写真・花村英典)

ミツビシeKワゴンG(2WD)

価格 124.0万円
燃費 29.2km/ℓ
CO₂排出量 80g/km
車両重量 830kg
エンジン形式 直3DOHC, 659cc
エンジン配置 フロント横置き
駆動方式 前輪駆動
最高出力 49ps/6500rpm
最大最大トルク 5.7kg-m/5500rpm
馬力荷重比 59ps/t
比出力 74ps/ℓ
圧縮比 12.0:1
変速機 CVT
全長 3395mm
全幅 1475mm
全高 1620mm
ホイールベース 2430mm
燃料タンク容量 30ℓ
サスペンション(前) マクファーソン・ストラット
サスペンション(後) 3リンク
ブレーキ(前) ディスク
ブレーキ(後) ドラム
タイヤ 155/65R14

記事に関わった人々

  • 山崎元裕

    Motohiro Yamazaki

    1963年生まれ。青山学院大学卒。自動車雑誌編集部を経て、モータージャーナリストとして独立。「スーパーカー大王」の異名を持つ。フツーのモータージャーナリストとして試乗記事を多く自動車雑誌、自動車ウェブ媒体に寄稿する。特にスーパーカーに関する記事は得意。

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