クルマ漬けの毎日から

2023.08.11

「グッドウッド・フェスティバル・オブ・スピード」で最高の1日【クロプリー編集長コラム】

午前8時10分 ポルシェカフェ

コーヒーを飲もうと、居心地の良さそうなポルシェカフェへ。無料で飲むこともできたが、自分で買ってゆっくり飲むことにした。

ゴードン・マレーも同じことを考えたらしく、有料コーナーにいた。彼は毎年、朝食を食べにこのカフェに来ているという。

今日、ゴードンのつくったハイパーカー「GMA T.50」はリアに人を乗せて、ヒルクライムに出走する。

T.50のオーナーは皆、V型12気筒を気に入ってくれているとゴードンは私に話した。あのサウンドを聴いただけで、確かにそうだろうと納得がいく。

午前8時45分 メディアセンター

かつては「プレステント」と呼ばれていたが、いまは大型で立派な建物になったメディアセンターへ。

顔見知りのジャーナリストは何人もいたが、親しい人にはだれにも会わなかった。それにコーヒーも飲めなかったので、外に出て参加車両や展示を見てまわった。

フェスティバル・オブ・スピードには謎がたくさんあるが、その1つは毎年スタンドや展示ブースなどを丘の斜面までどのように設置しているのかということ。

ルーフ(天蓋)が取り外されているブースもあったが、その他には前日の嵐の影響は見られなかった。

ジェリー・ユダがデザインしたポルシェのモニュメントは、彼の最高傑作のように見えた。強風にも完璧に対処されている。
AUTOCARの愛読者の人たちもこのイベントに来ていて、私に声をかけてくれた。

10人以上の読者と楽しいおしゃべりをしたが、あるカップルは、編集部のマット・プライア(ポッドキャストの私の相棒)は実際にはどんな人なのかを知りたがった。

「世界で最高にいい男」と答えたところ、彼らも納得していた。

午前9時30分 ヒルクライム

まず、EVが静かに先陣を切った。EVは極めて速いが、あまり注目を集めない。

次にノイジーなマシンがスタート。「観客を喜ばせることにかけては、F1カーに勝るものはない」という決まり文句があるが、これはもはや真実とはいえない。

いまやグッドウッドには、F1カーでなくとも歓声と興奮を引き起こすマシンが何台も登場する。

トラビス・パストラーナが駆った1983年製の「スバルGLファミリー・ハックスター」はその1台。会場は大いに盛り上がった。

午前10時 ドライバーズ・クラブ

ジャーナリストが集合し、セバスチャン・ベッテルの話を聞いた。

ベッテルは自身で所有するマンセルの「レッド5」ウィリアムズFW14B(1992年)と、セナのマクラーレンMP4/8(1993年)を持ってきていた。

「Race without trace」と銘打ったゼロ・エミッションのモーターレースを呼びかけ、持続可能な燃料について話した。

ベッテルは誠実で、好感の持てる人だ。また今後、FIAで彼が何らかの役割を担う可能性についても漠然とコメントしたが、元レーシングドライバーは次にすべきことをまだ模索中のようだ。

彼の2台のF1カーのうち、どちらを運転するのが好きなのか、質問してみた。「マクラーレンです。素直でよく出来たマシンだから」と答えてくれた。

記事に関わった人々

  • 執筆

    スティーブ・クロプリー

    Steve Cropley

    役職:編集長
    50年にわたりクルマのテストと執筆に携わり、その半分以上の期間を、1895年創刊の世界最古の自動車専門誌AUTOCARの編集長として過ごしてきた。豪州でジャーナリストとしてのキャリアをスタートさせ、英国に移住してからもさまざまな媒体で活動。自身で創刊した自動車雑誌が出版社の目にとまり、AUTOCARと合流することに。コベントリー大学の客員教授や英国自動車博物館の理事も務める。クルマと自動車業界を愛してやまない。

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