クルマ漬けの毎日から

2025.04.19

1990年代に誕生したクルマのなかで、クロプリー編集長にとって特に印象的なモデルは、フォード・モンデオ(1993年)とアウディTT(1998年)です。

90年代の偉大な2台、フォード・モンデオとアウディTT【クロプリー編集長コラム】

もくじ

90年代 まだアナログ
強い印象 モンデオとTT

90年代 まだアナログ

最近、90年代の10台をテストして記事を書いたが、これは予想よりもずっと楽しい仕事になった。この時代の重要な特徴を忘れてしまっていたので、少し調べていたら、がぜん面白くなったのだ。

アウディTT(初代/英国仕様)

90年代といえば、インターネットはまだ始まったばかり。コンピューターは大きな箱型で「職場で操作するもの」だったし、携帯電話はまださほど普及していなかった。つまり、私たちの生活とクルマは、現在よりずっとアナログだったのだ。このことは、90年代のシンプルで魅力的なクルマを見ると、実感できるだろう。

強い印象 モンデオとTT

今回90年代を代表する10台をあらためてテストしたが、とくに2台のクルマが強く印象に残った。それはフォード・モンデオと、アウディTT。

フォード・モンデオ(初代/英国仕様)

フォード・モンデオはとてもシンプルで、乗り心地に柔軟性があり、運転しやすい。またサイドウィンドウとフロントウィンドウが大型で、ウェストラインが低いので、モンデオを運転している時の感覚は今日のクルマとはまるでちがうと思った。

おそらく、現代のクルマよりも素晴らしいドライビング・エクスペリエンスだっただろう。
一方、アウディTTは独創的なデザインで、いまでも古さを感じない。インテリアもエクステリアも秀逸。90年代に誕生したクルマとはとても思えない。

アウディTT(初代/英国仕様)。

ところで、90年代のクルマに関することで何よりも素晴らしいのは、ほとんどの自動車メーカーが防錆処置の技術をこの時代に獲得したこと。これは重要な出来事。というのも、程度の良い中古車を見つけた場合、防錆処置が施されていれば、その状態を長く維持することができるから。少し前の時代のクルマでは、そうはいかない。

記事に関わった人々

  • 執筆

    スティーブ・クロプリー

    Steve Cropley

    役職:編集長
    50年にわたりクルマのテストと執筆に携わり、その半分以上の期間を、1895年創刊の世界最古の自動車専門誌AUTOCARの編集長として過ごしてきた。豪州でジャーナリストとしてのキャリアをスタートさせ、英国に移住してからもさまざまな媒体で活動。自身で創刊した自動車雑誌が出版社の目にとまり、AUTOCARと合流することに。コベントリー大学の客員教授や英国自動車博物館の理事も務める。クルマと自動車業界を愛してやまない。
  • 翻訳

    小島薫

    Kaoru Kojima

    ドイツ自動車メーカーの日本法人に在籍し、オーナーズマニュアルの制作を担当。その後フリーランスで翻訳をはじめる。クルマはハッチバックを10台以上乗り継ぎ、現在はクーペを楽しんでいる。趣味はピアノ。

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