クルマ漬けの毎日から

2025.05.03

1948年秋、第二次世界大戦後初のロンドン・モーターショーでデビューしたモーリス・マイナー。ミニに先立つこと11年前、アレック・イシゴニスが手掛けたこのクルマは、いまも愛されています。そのマイナーを初めて運転しました。

英国車初のミリオンセラー、モーリス・マイナーに初試乗【クロプリー編集長コラム】

もくじ

マイナー初試乗 なんと製造第1号!
偶然発見! 第1号モーリス・マイナー

マイナー初試乗 なんと製造第1号!

今日、初めてモーリス・マイナーを運転した。じつはその個体は、第1号のモーリス・マイナーなのだ。

英国自動車博物館(ブリティッシュ・モーター・ミュージアム)の会員向けのイベント「移動ミュージアム」に参加したところ、収蔵責任者のスティーブン・レイン氏が、この特別なマイナーを私にすすめてくれた。

今回クロプリー編集長が運転したのは、製造第1号車のこの個体。グリルに組み込まれたヘッドライトは初期型の特徴の1つ(のちにヘッドライトは変更され、グリルから独立)。

この2ドアのマイナーは初期型なので、ヘッドライトはグリル内部に一体型で、低い位置にある。また、フロントガラスが分割式なのも初期型の特徴。運転してみてまず驚いたのは、エンジンのフレキシビリティが高く、スムーズなこと。

またステアリング(ラック&ピニオン式)は軽く、ブレーキもまずまずで、シフトレバーも操作しやすい。第二次世界大戦後のイギリスでは、軍を退役したのちに家庭を持ち、初めて自分のクルマを所有した若者が大勢いた。

モーリス・マイナーのような戦後の革新的な新型車は、そういう人たちの生活を大きく変えたにちがいない。そんなことを思いながら、私はマイナーを運転していた。

偶然発見! 第1号モーリス・マイナー

ところで、今回運転したモーリス・マイナーは、1961年にコレクションに加わったという。製造元のブリティッシュ・モーター・コーポレーション(BMC)は、マイナー製造100万台を記念して、限定車「モーリス・マイナー・ミリオン」を当時発売。そしてそのうちの1台(新車)を、可能な限り古いマイナーと交換するというキャンペーンを実施した。

デビューから12年後(1960年12月)、モーリス・マイナーの製造は100万台を突破。英国車初の快挙を成し遂げた。

その結果、イングランドのシェフィールドに住むシリル・スイフト氏が所有していた1948年製のマイナーが、最初にラインオフしたモーリス・マイナーであると判明したという。なんとも嬉しい偶然だ。

記事に関わった人々

  • 執筆

    スティーブ・クロプリー

    Steve Cropley

    役職:編集長
    50年にわたりクルマのテストと執筆に携わり、その半分以上の期間を、1895年創刊の世界最古の自動車専門誌AUTOCARの編集長として過ごしてきた。豪州でジャーナリストとしてのキャリアをスタートさせ、英国に移住してからもさまざまな媒体で活動。自身で創刊した自動車雑誌が出版社の目にとまり、AUTOCARと合流することに。コベントリー大学の客員教授や英国自動車博物館の理事も務める。クルマと自動車業界を愛してやまない。
  • 翻訳

    小島薫

    Kaoru Kojima

    ドイツ自動車メーカーの日本法人に在籍し、オーナーズマニュアルの制作を担当。その後フリーランスで翻訳をはじめる。クルマはハッチバックを10台以上乗り継ぎ、現在はクーペを楽しんでいる。趣味はピアノ。

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