クルマ漬けの毎日から

2025.04.27

イギリスの2つの自動車博物館を訪ねました。1つは整備マニュアルで知られる「ヘインズ」が運営するヘインズ自動車博物館、もう1つはアトウェル・ウィルソン自動車博物館です。

おすすめの自動車博物館「ヘインズ」と「アトウェル」【クロプリー編集長コラム】

もくじ

ヘインズ 40周年
アトウェル あのロックスターのおすすめ

ヘインズ 40周年

イングランド西部をクルマで走り、サマセットのスパークフォードにある「ヘインズ自動車博物館」へ向かった(混雑するホリデーシーズンを除いて、西へ向かうA303号線は私のお気に入りの道路)。今年、この素晴らしい自動車博物館は40周年を迎える。

1985年7月に開館し、今年40周年を迎えるヘインズ自動車博物館。

ヘインズ自動車博物館を訪ねたのは数十年ぶり。中へ入ってほんの少し歩いただけで、長い間ここへ来なかったのは大きな間違いだったと思った。コレクションは幅広く、よく整理されている。

どれも完璧で魅力的、しかもレアなクルマでいっぱいだ(創設者の故ジョン・ヘインズが愛したアメリカ車のコレクションは、このミュージアムの見どころの1つ)。ここにいると、つねに何か新しいことを知る。

今年ヘインズでは「ブレックファストクラブ」と呼ばれる会員イベント(年間11回)や、大規模なクラシックカーイベント(9月)をはじめ、さまざまなイベントが開催される。また近いうちに、ここを訪ねるつもりだ。

アトウェル あのロックスターのおすすめ

ギルド・オブ・モータリング・ライターズという団体がカッスル・クーム・サーキットで開催した試乗会に参加した。

その主催団体のプレジデント(会長)を務め、また言うまでもなくロックスターでもあり、自動車コレクターでもあるニック・メイスンと話していたら、ウィルトシャーにある小規模ながら独特な「アトウェル・ウィルソン自動車博物館」のことが話題になった。

アトウェル・ウィルソン自動車博物館の様子

アトウェル・ウィルソン自動車博物館は、クルマを愛した故リチャード・アトウェルと故ハセル・アトウェル(旧姓ウィルソン)という夫妻が、アメリカ車専門のウェディングカーを取り扱うレンタカー会社を半世紀前に設立した時にスタートした。

彼らのコレクションは、1970年代から90年代にかけての大型のアメ車と、同時期の国産車(イギリス車)を中心に拡大していった。この時代のイギリスの大衆車を手が加えられていない状態で見つけることは、現在ではほぼ不可能になってきている。

現在、アトウェル・ウィルソン自動車博物館のコレクションは100台におよぶ。アレック・イシゴニスの通称「ギヤレス」とも呼ばれるプロトタイプの「ミニ9X」や、レンタルで展示しているウィリアムF1カーなど、さまざまなクルマを観ることができる。

情熱あふれる博物館員(右)が説明しているのはミニ9X。ミニ(1959年)を手掛けたアレック・イシゴニスが、60年代後半から長期間開発を続けた新型エンジンとギヤレス(自動変速機)を搭載した試作モデル。AUTOCAR編集委員のマット・プライヤー(左)も取材でアトウェルを訪問。

よくこういう場所には、ぴかぴかに磨かれた極上のスーパーカーがずらりと並んでいるが、ここはそうではない。だが、意外にもそれが心地よいのだ。

この博物館の組織、身近なクルマのコレクション、気取らない展示、熱意に満ちた素晴らしいボランティアの人たちといった要素が、このミュージアムを特別な場所にしている。来場者も多く、なかなか賑わっている。

すっかり盛り上がった私は、このミュージアムの会員になった。以来、自動車ショー、講演会、会員向けの夕方イベント、ブランド別のミーティングなどのたくさんの情報が届いている。

記事に関わった人々

  • 執筆

    スティーブ・クロプリー

    Steve Cropley

    役職:編集長
    50年にわたりクルマのテストと執筆に携わり、その半分以上の期間を、1895年創刊の世界最古の自動車専門誌AUTOCARの編集長として過ごしてきた。豪州でジャーナリストとしてのキャリアをスタートさせ、英国に移住してからもさまざまな媒体で活動。自身で創刊した自動車雑誌が出版社の目にとまり、AUTOCARと合流することに。コベントリー大学の客員教授や英国自動車博物館の理事も務める。クルマと自動車業界を愛してやまない。
  • 翻訳

    小島薫

    Kaoru Kojima

    ドイツ自動車メーカーの日本法人に在籍し、オーナーズマニュアルの制作を担当。その後フリーランスで翻訳をはじめる。クルマはハッチバックを10台以上乗り継ぎ、現在はクーペを楽しんでいる。趣味はピアノ。

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