クルマを愛する映像作家 米倉強太が語る、アルファ・ロメオ・ジュリアの真価

公開 : 2025.09.08 13:00

鋭い、でも予測しやすい、だから楽しい

アルファ・ロメオ・ジュリアにまつわる最新の話題は、エントリーグレードである『スプリント』の復活だろう。ジュリアGTAやクアドリフォリオのようなパワフルなモデルも、歴史的なアーカイブと今を結びつけることが得意なアルファ・ロメオらしい作品といえる。だが背伸びをすれば手が届くモデルの存在こそが、アルファ・ロメオの楽しさをより多くのファンに夢を与えてきたという事実も忘れてはならないだろう。

今回の撮影車両であるジュリア・ヴェローチェはミドルグレードになるが、直列4気筒ターボ・エンジンが発生する280psという最高出力を、リア2輪で路面に伝えるパワートレインをはじめとした基本の部分は、ジュリア・スプリントにも通じている。

「最初はボディの大きさが気になりましたが、乗ってみると見切りがいい。あとペースを上げていくとボディが小さく、引き締まったように感じられる点もアルファ・ロメオに共通するドライビング感覚だと思います」

今回試乗したジュリア・ヴェローチェの動的質感で米倉さんが特に感心させられたのは、サスペンションの設定だという。

「ステアリングの初期応答が鋭くてハナの入りもいい。そうすると乗り心地がいいのでけっこうロールするけど、怖くない。またしなやかなアシのおかげで280psというパワーを意識せず、自信を持ってスロットルを踏み込める。挙動を予測しやすいので、クルマとしっかり意思の疎通ができていると実感できます」

聞けば子供の頃から、父親の運転するアルファ・ロメオの助手席を揺りかごとして成長してきたという米倉さん。彼のコメントのひとつひとつに説得力が感じられるのは、そんな時間軸も関係しているのだろう。

記事に関わった人々

  • 執筆

    吉田拓生

    Takuo Yoshida

    1972年生まれ。編集部員を経てモータリングライターとして独立。新旧あらゆるクルマの評価が得意。MGBとMGミジェット(レーシング)が趣味車。フィアット・パンダ4x4/メルセデスBクラスがアシグルマ。森に棲み、畑を耕し蜜蜂の世話をし、薪を割るカントリーライフの実践者でもあるため、農道のポルシェ(スバル・サンバー・トラック)を溺愛。
  • 撮影

    神村聖

    Satoshi Kamimura

    1967年生まれ。大阪写真専門学校卒業後、都内のスタジオや個人写真事務所のアシスタントを経て、1994年に独立してフリーランスに。以後、自動車専門誌を中心に活躍中。走るのが大好きで、愛車はトヨタMR2(SW20)/スバル・レヴォーグ2.0GT。趣味はスノーボードと全国のお城を巡る旅をしている。
  • 編集

    小河昭太

    Shota Ogo

    2002年横浜生まれ。都内の文系大学に通う現役大学生。幼いころから筋金入りのクルマ好きで、初の愛車は自らレストアしたアウトビアンキA112アバルトとアルファロメオ2000GTV。廃部になった自動車部を復活させようと絶賛奮闘中。自動車ライターを志していたところAUTOCAR編集部との出会いがあり、現在に至る。instagram:@h_r_boy_

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