【アルフィスタ必読】思い出したのはアルファスッド!アルファ・ロメオ・ジュニアはその気にさせるディテール満載

公開 : 2025.07.09 13:05

アルファ・ロメオが創業した1910年6月24日からちょうど115年後、日本で新しいコンパクトSUV『アルファ・ロメオ・ジュニア』が発売。森口将之は、そのディテールなどから思い出したアルファ・ロメオがありました。

クルマ好きを騒がせるのは珍しいことではない

アルファ・ロメオがミラノで創業したのは、1910年6月24日。それからちょうど115年後、日本で新しいコンパクトSUVの『アルファ・ロメオ・ジュニア』が発売された。

ただしクルマ好きの中には、当初はミラノという車名で発表されたものの、直後にイタリア政府から変更の要請があり、ジュニアにネーミングを変えたというエピソードを覚えている人もいるだろう。

取材車両は200台限定の『アルファ・ロメオ・ジュニア・イブリダ・スペチアーレ』。
取材車両は200台限定の『アルファ・ロメオ・ジュニア・イブリダ・スペチアーレ』。    神村聖

しかもそのデザインは、とりわけフロントマスクに対するコメントが賛否両論だったことも記憶している。

でもアルファの顔がクルマ好きを騒がせるのは、珍しいことではない。『醜い』とまで言われた初代ジュリア、『イル・モストロ(悪魔)』と呼ばれたES30型SZ/RZなどが、すぐに思い浮かぶ。

それにメディア向け試乗会で対面したジュニアは、最初に写真で見たときより、違和感は薄かった。ライセンスプレートがオフセットされていたからだ。

アルファのライセンスプレートは、スパイダーではかなり昔から、ベルリーナでも156あたりから、左側にオフセットして装着することが一般的だった。その様式は現行各車にも受け継がれているが、ジュニアは欧州仕様では、中央に取り付けてあった。なのに日本仕様はオフセットしていたのである。

天地が長い日本のプレートでは、ADAS用センサーが干渉するのでこの配置になったのかもしれないが、ビジュアルではかなり得をしている。

コーダトロンカの処理もスッドっぽい

試乗車はデビューを記念した200台限定の『イブリダ・スペチアーレ』で、ハイブリッドでありながら中央の盾の中が、電気自動車の『エレットラ』と同じ『プログレッソ』デザインとなる。写真で見たときは正直「エーッ?」だったが、実物は悪くない。

さらに真横からの眺めは、半世紀前にこのクラスを担当していたアルファスッドを思わせるし、リアもコンビランプのレイアウトは異なるものの、コーダトロンカの処理もスッドっぽい。

イブリダ・スペチアーレはサベルト製スポーツシートなどを装備する。
イブリダ・スペチアーレはサベルト製スポーツシートなどを装備する。    神村聖

インテリアはさらにアルファらしさが濃厚だ。丸をモチーフにしたメーターカバーとエアコンルーバー、ドライバー側にチルトしたセンターディスプレイ、高めのセンターコンソールなど、その気にさせるディテールが満載だ。

極め付けは、スペチアーレにレザー&アルカンターラステアリングホイールとともに装備される、サベルト製スポーツシート。本格的なバケットシートのように、背もたれにスリットが入っている。BセグメントのSUVとは思えない、コンペティティブな仕立てだ。

とはいえ座面にも背もたれにも相応のクッションは入っているので、座り心地はガチガチではない。リアシートは身長170cmの僕なら余裕をもって座れるし、ラゲッジスペースは開口部が広くフロアは2段階にセットできるなど、実用性もしっかり押さえていた。

記事に関わった人々

  • 執筆

    森口将之

    Masayuki Moriguchi

    1962年生まれ。早稲田大学卒業後、自動車雑誌編集部を経てフリーランスジャーナリストとして独立。フランス車、スモールカー、SUVなどを得意とするが、ヒストリックカーから近未来の自動運転車まで幅広い分野を手がける。自動車のみならず道路、公共交通、まちづくりも積極的に取材しMaaSにも精通。著書に「パリ流環境社会への挑戦」(鹿島出版会)「MaaSで地方が変わる」(学芸出版社)など。
  • 撮影

    神村聖

    Satoshi Kamimura

    1967年生まれ。大阪写真専門学校卒業後、都内のスタジオや個人写真事務所のアシスタントを経て、1994年に独立してフリーランスに。以後、自動車専門誌を中心に活躍中。走るのが大好きで、愛車はトヨタMR2(SW20)/スバル・レヴォーグ2.0GT。趣味はスノーボードと全国のお城を巡る旅をしている。
  • 編集

    平井大介

    Daisuke Hirai

    1973年生まれ。1997年にネコ・パブリッシングに新卒で入社し、カー・マガジン、ROSSO、SCUDERIA、ティーポなど、自動車趣味人のための雑誌、ムック編集を長年担当。ROSSOでは約3年、SCUDERIAは約13年編集長を務める。2024年8月1日より移籍し、AUTOCAR JAPANの編集長に就任。左ハンドル+マニュアルのイタリア車しか買ったことのない、偏ったクルマ趣味の持ち主。

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