桐生八木節まつりで出会ったスバル360オーナー!アルファ・ロメオひと筋30年からなぜスバリストに?【家族愛と地元愛】

公開 : 2025.08.16 12:05

8月1~3日に開催された『桐生八木節まつり』。その中日である2日にクラシックカーの展示イベントが行われました。そこで出会った、アルファ・ロメオひと筋30年からスバル360を増車したというオーナーを、内田俊一が紹介します。

家族の思い出

8月1~3日に開催された桐生市最大級の夏祭り、『桐生八木節まつり』。その中で『クラシックカーin八木節まつり』が共催行事として行われた。

群馬県桐生市のお隣は太田市で、スバルの故郷でもある。そこで展示車にスバル360が含まれていたので、オーナーさんにこだわりなどを聞いてみた。

クラシックカーフェスティバルin桐生の実行委員会のひとり、長島弘幸さんと愛車のスバル360。
クラシックカーフェスティバルin桐生の実行委員会のひとり、長島弘幸さんと愛車のスバル360。    内田俊一

オーナーは長島弘幸さん。毎年秋に開催される『クラシックカーフェスティバルin桐生』の実行委員会のひとりでもあるエンスージアストだ。ここ30年程は足車も趣味車もアルファ・ロメオ一筋。

足車は155から156、159と乗り継ぎ、現在はジュリア。趣味車も、デュエット・スパイダーを経て1964年式ジュリア・スパイダーを所有し、イベントなどで楽しんでいる生粋のアルフィスティだ。

そんな長島さんが、なぜスバル360も所有しているのか。その背景にはご家族との思い出があった。「60年近く前、まだ私が保育園児かそれ以前の頃、父がアイボリーホワイトのスバル360を買ったんです」。これが長島家のファミリーカーの始まりだ。

「よく家族で出かけましたね。赤城山に登っている途中でエンコしたり(笑)。いわゆる『スバル・クッション』なのでふわふわでしょ。私たち子どもは後席に乗せられていますから山道などで左右に揺れて体を押し付け合うんです。最初はふざけているんですが、だんだん喧嘩になるのはお決まりでした」と懐かしそう。

現在所有するスバル360ヤングSは、5年ほど前に購入。普段は自宅前に置いているのだが、たまたま2週間くらい修理に出ていたことがあった。その時に、「母が、『お前スバルはどうしたの?』と聞くんです。修理に出していることを話すと、『ああよかった。手放したのかと思って心配で心配で。あのクルマは大好きなんだよ』と。やっぱり自分たちが苦労して手に入れた思い出が大きくあるんでしょうね」と長島さんは語る。

アルファ・ロメオしか知らなくていいの?

ではそもそも、なぜ長島さんはスバル360を購入したのだろう。

「このままアルファ・ロメオしか乗らないで人生終わっちゃうのかなと思ったのがきっかけです。もちろんそれで良いのかもしれませんが、アルファの良さは、他のクルマに乗ると余計にわかるかもしれない」と思い立ったそうだ。

長島さんが所有する1964年式ジュリア・スパイダーと現行ジュリアという、2台のアルファ・ロメオ。
長島さんが所有する1964年式ジュリア・スパイダーと現行ジュリアという、2台のアルファ・ロメオ。    ご本人提供

そのころ、長島さんが尊敬する小林彰太郎さんと桐生のイベントで出会う。そこには国内外300台ぐらいのヒストリックカーが展示されていたことから、会場の中で一番はどれかを問うたそうだ。するとスバル360を挙げられたという。

「小型で大人が4人乗って移動できるというこのクルマのスピリットは、今でも通用する素晴らしいものと評されていました。それを聞いて、よし、スバル360を買おうと決めたんです」。また、桐生市の隣が太田市で、スバルの生まれ故郷ということも心理的に大きく影響した。

そして知人から譲ってもらうことになるのだが、試乗した際に、「最初の信号でブレーキをかけた時にグワンって揺れて止まったんです。これだよ! これこれ! って。もうそれで50年前以上の記憶が思い出されました。もう決定です(笑)」。

記事に関わった人々

  • 執筆 / 撮影

    内田俊一

    日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員。1966年生まれ。自動車関連のマーケティングリサーチ会社に18年間在籍し、先行開発、ユーザー調査に携わる。その後独立し、これまでの経験を生かしてデザイン、マーケティング等の視点を中心に執筆。長距離試乗も得意であらゆるシーンでの試乗記執筆を心掛けている。クラシックカーの分野も得意で、日本クラシックカークラブ(CCCJ)会員でもある。現在、車検切れのルノー25バカラとルノー10を所有。
  • 撮影

    内田千鶴子

    Chizuko Uchida

    イタリアとクルマが大好きで、1968年式のFiat 850 spider Serie2を20年以上所有。本国のクラブツーリングにも何度か参加している。イタリア旅行時は、レンタカーを借りて一人で走り回る。たまたま夫が自動車ジャーナリストだったことをきっかけに取材を手伝うことになり、写真を撮ったり、運転をしたりすることになった。地図は常にノースアップで読み、長距離試乗の時はナビを設定していても、ナビシートで常に自分で地図を見ていないと落ち着かない。
  • 編集

    平井大介

    Daisuke Hirai

    1973年生まれ。1997年にネコ・パブリッシングに新卒で入社し、カー・マガジン、ROSSO、SCUDERIA、ティーポなど、自動車趣味人のための雑誌、ムック編集を長年担当。ROSSOでは約3年、SCUDERIAは約13年編集長を務める。2024年8月1日より移籍し、AUTOCAR JAPANの編集長に就任。左ハンドル+マニュアルのイタリア車しか買ったことのない、偏ったクルマ趣味の持ち主。

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