なぜ強い!? ヒョンデがWRCラリー・ジャパンを席捲 「N」のDNAとアイオニック 5が導く世界とは

公開 : 2022.12.19 14:45

「N」ブランドとは

ヒョンデのラリーカーの車名に「N」が入っているが、この「N」はハイパフォーマンスカーであることを表している。

ヒョンデはハイパフォーマンスブランドとして「N」を展開しており、標準車と「N」の関係性を分かりやすく説明すると、メルセデス・ベンツのAMG、BMWのM、フォルクスワーゲンのR、レクサスのFなどと同じものだといえる。R&Dのあるナムヤンの地名から「N」というネーミングとなった。

パフォーマンスブランドの「N」では、内燃機関の次のステージである“電動化”にいち早く着目。大胆な投資を行い、具体的な成果につなげている。

今年の7月15日に韓国で開催された「N Day 2022」では、高性能な「N」ブランドのコンセプトEVであるRN22eを発表した。

流麗なフォルムに釘付け「RN22e」

このモデルは流線形のデザインを特徴とする新型EVのアイオニック 6をベースにしたパフォーマンスカーで、前後に搭載したモーターを強化。システム全体で、430kWというパワーと740Nmという最大トルクを誇っている。

N Day 2022では、もう1台の高性能コンセプトモデルが初公開された。

燃料電池スポーツカー「Nビジョン74」

「N」ブランドの新しいローリングラボ(モータースポーツから着想を得た高性能技術や特定の電動化技術を、量産モデルに適用する前に研究開発と検証を行う車両)として登場したのは、同ブランド初の水素ハイブリッド車である「Nビジョン74」だ。

Nビジョン74は、1974年に発表した韓国初のスポーツカー「ポニーコンセプト」と2015年のフランクフルト・モーターショーで提案した「N 2025ビジョン・グランツーリスモ・コンセプトカー」の両方にインスパイアされた、ヒョンデの過去、現在、未来が余すところなく取り込まれた高性能水素燃料電池ハイブリッドモデルである。

5分以内の急速充電の燃料電池技術と800Vバッテリーの急速充電技術を組み合わせることで、持続可能な電気自動車の大きなデメリットとなっている充電速度を向上させており、水素燃料電池を使用することによって、電気自動車と比較して1回の充電での航続距離が増えている点がNビジョン74のポイントだ。

85kWの水素燃料電池と62.4kWhの駆動用バッテリーから電力を得ており、後輪の駆動には最高出力500kW、最大トルク900Nmの駆動モーターを2基使用している。

後輪に搭載された2基の強力な電気モーターの構造的メリットを最大限に引き出すため、Nビジョン74はRM20eで開発したツインクラッチによるトルクベクタリングコントロールを搭載。その結果、後輪への極端なパワー配分を行うことで、旋回力とハンドリング性能を大幅に向上させることが可能となり、水素を燃料とする電気自動車では珍しくドリフト走行も可能だ。

「N」ブランドは、ヒョンデが掲げるカーボンニュートラルや電動化ミッションに則した高性能パフォーマンスカーのコンセプトを提案し、それと同時にEVやFuel cellでも走りの愉しさを体験できる、という独自の考え方を展開している。都市部の通勤でもワクワクできる「N」ブランドのクルマたちは、これからの時代を担うデイリースポーツカーとなるはずだ。

記事に関わった人々

  • 執筆 / 撮影

    高桑秀典

    Hidenori Takakuwa

    1971年生まれ。デジタルカメラの性能が著しく向上したことにより、自ら写真まで撮影するようになったが、本業はフリーランスのライター兼エディター。ミニチュアカーと旧車に深い愛情を注いでおり、1974年式アルファ・ロメオGT1600ジュニアを1998年から愛用中(ボディカラーは水色)。2児の父。往年の日産車も大好きなので、長男の名は「国光」

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