【調子が良ければ喜びの塊】TVRタスカン(2代目) 英国版中古車ガイド

公開 : 2020.04.13 10:20  更新 : 2021.07.12 18:46

TVRタスカンは、実用性も悪くない、運転を楽しめる英国製の2シータースポーツといえます。ただし、調子が良ければの話。中古車を購入する場合の注意点を、英国編集部が解説します。地雷は踏みたくありませんよね。

定期的なメンテナンスと忍耐力が必要

text:John Evans(ジョン・エバンス)
translation:KENJI Nakajima(中嶋健治)

 
英国でTVRエキスパートとして尊敬を集めるディーラーの人によれば、TVRのドライバーは脳外科医のような心構えが必要だという。適切な知識を持ち、昼夜を問わずクルマに必要な手術を受け入れなければならない。

タスカンもそんな1台。太陽が輝いている晴天時に楽しむための、趣味のためのクルマ。出先で故障してしまったら、何とか自ら対処することになる。

TVRタスカン(2代目)
TVRタスカン(2代目)

中古車ガイドとして、オススメしにくい冒頭で始まってしまったが、知らないよりは良い。すべてのTVRと同様に、タスカンもオーナーによる定期的なメンテナンスと、日頃の注意が不可欠。忍耐力も必要なのだ。

リムーバブル・ハードトップを備え、大きな荷室が用意された2シーターのタスカン。TVRは当初、最も扱いやすいTVR製モデルだと話していた。こんなに手を焼くクルマだとは、考えていなかっただろう。

スペックシート上は悪くない。しかし自動車の開発・耐久テストは、従来どおりオーナーになったドライバーに任されていた、とはいい過ぎだろうか。おかげで、オリジナルコンディションのTVRを見つけることが難しい。

望まなくても、多くのアップグレードが施されている場合が多い。エンジンやトランスミッションはリビルトされ、ブレーキやサスペンションもアップグレードされているクルマがほとんど。ボディも再塗装されている可能性が高い。

必ずしも悪いとも限らない。むしろありがたく考えよう。クルマに施された手術内容の一覧や請求書を確認し、いつ何が行われたのかを理解しておきたい。前オーナーが変更したとも限らない。

調子が良いタスカンは喜びに溢れている

タスカンを所有することは、歴代のオーナーにとっては1つの野望だったはず。その所有期間に、様々な体験をしたとしても。

TVRタスカンが発表されたのは1999年。エンジニアのアル・メリングによって設計された直列6気筒エンジンを搭載する。スピードシックスと呼ばれていた。排気量は3.6Lで、最高出力355ps。トルクフルな4.0L版は365psを発生させた。

TVRタスカン(2代目)
TVRタスカン(2代目)

レッド・ローズと呼ばれる385psの4.0L版も存在する。近年プレミアムが付いているのは、395psを発生させる4.0Sとなる。

グラスファイバー製のボディは、アウトリガーが付いたスチール製のチューブラー・シャシーにマウントされている。見る角度で色味が変化する、高品質な塗装が特徴といえる。

ボンネットは2ピース構造。初期型は、フェンダーに3連のヘッドライトが縦に並ぶ。2003年まではタルガスタイルのみ。大きな荷室は、ルーフとリアウインドウを収納するのにも機能的だった。

Mk2が登場するのは2004年。わかりやすい違いは、ヘッドライトが2灯になったこと。コンバーチブルも選べるようになり、4.0Sは最高出力が405psへ向上している。

Mk2が登場する前後、TVRはロシアの実業家、ニコライ・スモレンスキーに買収された。新オーナーとなったことで、TVRの品質は向上している。Mk3では、ダッシュボードのデザインが一新。ウェービー(波型)ダッシュと呼ばれている。

間違いなく調子が良いタスカンは、喜びに溢れている。もしTVRが新モデルで復活を果たしたのなら、タスカンの価値も再評価されるだろう。その前に1台、手に入れておくのも悪くない。

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