【TVRでグッドウッドに初参戦】アーティストのレースデビュー 前編

公開 : 2020.03.08 07:50  更新 : 2021.02.17 17:44

モータースポーツを題材にしたアーティストとして知られるティム・レイゼルは、TVRの熱狂的なファン。初参戦のグッドウッドではTVRグランチュラXPG 1のステアリングを握り、サーキットにシャープなラインを描きました。

モータースポーツをテーマにするアーティスト

text:Mick Walsh(ミック・ウォルシュ)
photo and image:James Mann(ジェームズ・マン)/Tim Layzell(ティム・レイゼル)
translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)

 
自らレースを楽しむアーティストは多くはないが、少なからず存在する。レースシーンの作品で知られる、フランス生まれの偉大なアーティスト、ジェオ・ハムは作品制作のためにブガッティをドライブし、インスピレーションを求めた。

英国人レーサーのニック・フォーレは様々なマシンでレースに参戦しながら、数多くのイラストを描いた。ル・マンには11度も参戦している。モータースポーツのアートワークで知られるデクスター・ブラウンも、自身のXK120でレースを戦った。

TVRグランチュラXPG 1
TVRグランチュラXPG 1

今回ご紹介するティム・レイゼルも、モータースポーツをテーマにした作品で知られるアーティスト。知らないうちに、読者も目にしているかもしれない。

TVRグランチュラのオーナーでもあるレイゼルは、グッドウッド・リバイバルで記憶に残るデビュー戦を果たした。土曜日に開かれた、1960年から1966年のスポーツカーが競う、フォードウォーター・トロフィーに出場。熱戦の末、見事5位でフィニッシュした。

レイゼルのこれまでの活躍は、アートに対する情熱と、自動車への強い探究心との掛け合わせで生まれてきた。「わたしの家族は、常にグラスファイバー製ボディを持つスポーツカーに関心を持っていました」 と振り返るレイゼル。

「幼かった頃、父はギルバーンGTのオーナーでした。状態は良かったのですが、シャシーがサビてしまい、新しく作り直しました。小さい頃から溶接方法を学んだようなものです」

幼い頃からクルマ漬けの毎日

「小学校時代は、兄弟でペダルカーをゴーカートにして遊んでいました。次第に競争は激しくなりましたけど。父とVSCC(ビンテージ・スポーツカー・クラブ)のミーティングに行くと、ERA R4Dというお気に入りのレーシングカーに出会いました」

「そこでゴーカートをシルバーとブラックに塗って、ERA R4D風にしました。数年後には本物のゴーカートを借りてレースにも出ました。とても楽しかったですが、それ以上先に進むことはありませんでしたね」

TVRグランチュラXPG 1とティム・レイゼル
TVRグランチュラXPG 1とティム・レイゼル

幼い頃の、カースル・クームへの旅も大きな影響を与えたようだ。「C&SC(クラシック&スポーツカー)誌のマイク・マッカーシーが脳卒中協会のために開いた、チャリティ・イベントが素晴らしいものでした」

「レーサーのフランク・シトナーが運転するジャガーDタイプに乗って、採石場をドリフトしながら走った体験は、忘れられない記憶です。それに、レーサーのウィゾ・ウイリアムズも、わたしのもう1人のヒーロー。素晴らしい時代でしたね」

レイゼルは今もクルマを積極的に楽しんでいる。彼の描く作品から、強いリアリティが漂う理由だろう。「運転免許を取ってからは、英国のマイダス社が作るキットカーを買いました」

「組み上がっている状態のものを、一度ばらして組み立て直し、兄弟で地元のラリーに何度か参加しています。そのマイダスに乗って、妻へプロポーズもしたんです」

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