他を寄せ付けない「王者的」世界観 メルセデス・ベンツGL(初代) UK中古車ガイド

公開 : 2024.01.16 19:05

速さと広さ、高級さで他を寄せ付けない ライバルほぼ不在の大型ラグジュアリーSUV 価格はお手頃でも相応の維持費は必要 英国編集部が魅力を再確認

ライバルほぼ不在の大型ラグジュアリーSUV

2006年から2013年にかけて生産された初代メルセデス・ベンツGLクラスは、ライバルがほぼ存在しない、大型のラグジュアリーSUVだった。ランドローバーレンジローバーより全長は130mm近く長く、5110mmもある。

その大きさを活かし、ホイールベースは3075mm。大人7名が快適に移動できる、正真正銘の7シーターといえる。ロンドンからアルプス山脈までのロングドライブへ出かけても、3列目でも不満は出ないだろう。

メルセデス・ベンツGL(初代/2006〜2013年/英国仕様)
メルセデス・ベンツGL(初代/2006〜2013年/英国仕様)

しかもメルセデス・ベンツとして、先進的な装備を満載。四輪駆動システムの4マティックには、トラクション・コントロールと連動するロックデフを、前後アクスルと中央に搭載する。滑りやすい雪道やオフロードでも、安定して大きなボディを導けた。

ボディの位置は高く、前後のオーバーハングは長すぎず、バンパーの下端が路面へ接する機会は限定的。ローレンジ・ギアとヒルディセント・システムも備わる。ホイールベース間は、スキッドプレートが保護する。

現在の英国の中古車市場を俯瞰すると、ガソリンエンジンの大多数は、自然吸気の5.5L V8を搭載した500。最高出力382ps、最大トルク53.9kg-mを発揮し、0-100km/h加速は6.5秒と充分に鋭い。4.7L版は少ないようだ。

ディーゼルエンジンは選択肢が増える。最も多いV6ターボの320 CDIは、221psと51.8kg-mがうたわれた。数は少ないが、V8ツインターボの420 CDIも出てくる。302psと71.2kg-mを誇り、キャンピングトレーラーの牽引も余裕でこなせる。

他を寄せ付けない王者的な世界観

初代GLは2009年にフェイスリフト。フロントマスクのデザインが新しくなり、テールライトはLEDに。シートは形状が新しくなり、7速オートマティックは改良を受けた。

同時期に、環境性能を高めるべく、ディーゼルエンジンには尿素を用いたアドブルー・システムを採用。320 CDIは40ps増強され、350 CDI ブルーエフィシェンシーへ改称された。420 CDIは、廃盤となった。

メルセデス・ベンツGL(初代/2006〜2013年/英国仕様)
メルセデス・ベンツGL(初代/2006〜2013年/英国仕様)

ガソリンターボの500は継続。燃費は望めないが、ディーゼルエンジンで稀にドライバーを悩ませる、パティキュレート・フィルターの不調からは開放される。中古車では走行距離が短いものも多い。

大きなSUVだが、エアサスペンションの3モードを使い分ければ、優れた乗り心地と操縦性を愉しむことは可能。スポーツ・モード時は姿勢制御が引き締まるぶん、路面が荒れてくると乗り心地への影響を避けられないが。

インテリアはSクラスの水準。3列目のシートも、電動で角度を調整できる。

ボディサイズは大きいものの、スクエアな形状と大きなミラー、広いガラスエリアのおかげで、比較的取り回しはしやすい。駐車も、想像より簡単にこなせる。

そんな大型ラグジュアリーSUVが、比較的お手頃な価格で売りに出ている。ただし、メンテナンス費やガソリン代、税金など、相応の維持費は求められる。それを工面できれば、他を寄せ付けない王者的な世界観が我が物になるはず。

記事に関わった人々

  • 執筆

    ジョン・エバンス

    John Evans

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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