30系アルファードに、まさかの55型ディスプレイ 「20分の眠り」をパナソニックが変える!

公開 : 2024.01.12 23:12

先代アルヴェルに乗るVIPのために、55型の後席用ディスプレイが登場? 「ウェルキャビン」と名付けられたコンセプトカーを発見しました。

ウェルビーイング + キャビン

東京オートサロン2024の会場で、55型の後席用ディスプレイを装着した先代アルファードに出会った。

日本で“VIPの脚”として地位を築いているのが高級ミニバンたち。

30系アルファードの後席に、55型ディスプレイを設置する提案。東京オートサロン2024のパナソニック オートモーティブシステムズ・ブースに展示中。
30系アルファードの後席に、55型ディスプレイを設置する提案。東京オートサロン2024のパナソニック オートモーティブシステムズ・ブースに展示中。    徳永徹

先ごろレクサスLMに後席用48型ディスプレイが設定されて話題となったが、こちらはもっと大きい。透過型の55型ディスプレイを前席・後席の間に設置しているのだ。

リアシートに身を預けると、さながらホームシアターといった感じで、会場では実際に車内に入って体験することができる。

それだけではない。

じつはこのクルマ、車室空間サービス「ウェルキャビン」を提案するパナソニック オートモーティブシステムズの出展車両なのだ。

「ウェルキャビン」というのは、映像・音響・振動・照明・香りという五感に響く環境をコントロールし、移動時間を豊かなものにするパナソニックの新技術である。

どうしたらクルマの中で快適に過ごせるか…、仕事に集中できる環境とはどんなものか…。

パナソニックが人の研究で培ってきた様々なデータを組み合わせて、後席の空間・移動の時間に付加価値を与えようというのだ。

パナソニック流のパワーナップ?

カスタマーとして考えられるのは、分刻みのスケジュールをこなすビジネスエグゼクティブたち。

彼らの毎日を追い掛けたところ、移動中は「次の仕事に向けて頭をすっきりさせたい」というニーズが存在していることがわかった。

アルファードの車室幅いっぱいに設置されたピラーtoピラーの大画面。同社がレクサスLM用に製造する48型ディスプレイは横長の32:9。こちらのアスペクト比は16:9となっている。
アルファードの車室幅いっぱいに設置されたピラーtoピラーの大画面。同社がレクサスLM用に製造する48型ディスプレイは横長の32:9。こちらのアスペクト比は16:9となっている。    徳永徹

20分の仮眠(パワーナップ)の効果は多くの読者が知るところだろう。

「ウェルキャビン」では、クルマの中で“もっと質の高い仮眠”が取れると考えればいい。

運転はドライバーに任せ、われわれは後席に座り、手元の端末を操作してみよう。

例えば「パワーリセット」というアイコンを選択すると、頭をすっきりさせるためのモードが始まる。

リラックス/スリープ/アウェイクという3つのフェーズで構成されているから本格的だ。

「リラックスフェーズ」
深い森を辿る映像と照明・音・香りで没入感を高め、リラックスした時間を過ごす

「スリープフェーズ」
湖畔の静かな眠りをイメージした抽象的な映像と波の音に包まれながらうたた寝

「アウェイクフェーズ」
生命感のある森の映像、リズミカルなBGMに合わせてシートが振動して、快適に目覚める

関心を寄せている、ある業界とは

2つのキャプテンシートの間にはディフューザーが設置されていて、アロマが鼻腔をくすぐる。

深い森のなかで眠りに落ちていると、BGMがだんだんと聞こえてくる感じ。リズムに合わせてシートがフルっと揺れて目を覚ます感覚が心地いい。

取材に応じて下さったパナソニック オートモーティブシステムズ株式会社インフォテインメントシステムズ事業部コネクテッドモビリティプロダクツビジネスユニットソリューション開発室の多々良潔 室長。
取材に応じて下さったパナソニック オートモーティブシステムズ株式会社インフォテインメントシステムズ事業部コネクテッドモビリティプロダクツビジネスユニットソリューション開発室の多々良潔 室長。    徳永徹

仮眠のあとは、クルマが第2のオフィスとなる。

55型のディスプレイはPC・モバイル端末と接続できるから、移動中にオンライン会議へ参加するもよし。3Dハイレゾ対応のオーディオスピーカーで好きなコンテンツを再生するもよし。

面白いのは、この技術にタクシー業界が注目していること。

インバウンドを含む富裕層の顧客を観光・スポーツ観戦にお送りする際、旅先のムービーや応援するチームのハイライト映像を再生して、質の高いおもてなしを提供しようというのだ。

トヨタ・グランビアにパナソニック オートモーティブシステムズの後席用ディスプレイが純正採用されたのは1997年のこと。昨年にはレクサスLM用の48型横長ディスプレイを発表するなど、リア・エンターテインメントの技術とノウハウを長年にわたり培ってきた。

今回は“既販”のアルヴェルを題材に、後席で過ごす乗員のウェルビーイングまで切り込んだ形だ。

なお東京オートサロン2024は、1月14日(日)まで、千葉県・幕張メッセで開催されている。

記事に関わった人々

  • 執筆 / 撮影

    徳永徹

    Tetsu Tokunaga

    1975年生まれ。2013年にCLASSIC & SPORTS CAR日本版創刊号の製作に関わったあと、AUTOCAR JAPAN編集部に加わる。クルマ遊びは、新車購入よりも、格安中古車を手に入れ、パテ盛り、コンパウンド磨きで仕上げるのがモットー。ただし不器用。

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