今でも斬新:シトロエンXM 新時代を告げた:アルファ・ロメオ156 ハッチバックを再定義:フォード・フォーカス 欧州COTYの1番を選ぶ(5)

公開 : 2024.02.17 17:46

すべてが当時基準で素晴らしい156

当初のエンジンは121psの1.6Lと157psの2.0Lという直列4気筒に加えて、24バルブ2.5L V型6気筒も用意。魅力的なラインナップを構成した。

サスペンションは、フロントがダブルウィッシュボーン式で、リアがマクファーソンストラット式。シャシーはフィアット・ベースだったが、大幅な改良が加えられていた。当時の審査員、56名中、40名が最高得点を与えている。

アルファ・ロメオ156(1997〜2007年/英国仕様)
アルファ・ロメオ156(1997〜2007年/英国仕様)

その年の2位は、フォルクスワーゲン・ゴルフ Mk4。3位には、新しいアウディA6が続いた。

デビッド・ウォラル氏がオーナーの、ブラックの156を運転すれば、優勝を掴んだ結果に疑問は抱かない。「この156は、年月が経つほど良く感じられるクルマの1台ですね」。とスティーブが笑顔を見せる。

「スタイリング、ボディサイズ、サウンド、ハンドリングなど、すべてが当時基準で素晴らしいと評価できます。かつてのアルファ・ロメオらしい、信頼性という弱点は抱えていましたが」

レイも156の魅力には勝てない。「これは、見た目と同じくらい優れた走りを叶えた、新時代のアルファ・ロメオの始まりを告げました。今でも、コンパクトなスポーツサルーンとして充分に楽しめます」

マットもうなずく。「大きなドアのボタンを押した瞬間から、ドライバーを喜ばせるためにデザインされたことが伝わってきます。ドライビングポジションは良くありませんが、運転は素晴らしい。見た目も。良いクルマだと思います」

ハッチバックへ期待するすべてを再定義

1999年の欧州COTYに選ばれたフォード・フォーカスも、伝統あるブランドの新しい幕開けを告げたモデルだった。「ニューエッジ」と称された、モダンでシャープなデザインは、まさにそれを象徴していた。

3ドアと5ドアのハッチバック、4ドアのサルーン、5ドアのステーションワゴンというボディスタイルが用意され、マルチリンク式サスペンションをリアに採用。クラス・ベンチマークといえる秀でた走りを、グローバルモデルとして世界各国で披露した。

フォード・フォーカス(初代/1998〜2004年/英国仕様)
フォード・フォーカス(初代/1998〜2004年/英国仕様)

今回のフォーカスは、フォード・ヘリテイジ部門が管理する車両。エンジンは1.6Lで、新車時は中心的な選択肢といえた。3名の審査員は、いずれも肯定的な意見を口にする。

「フォーカスは、エスコートからの飛躍でした」。と振り返るのはレイ。「ステアリングは完璧で、操縦性はこのクラスの最高水準。入念な技術開発が施され、スタイリングは端正で、パッケージングも優秀といえます」

スティーブも続ける。「発売当時は、驚くほど完成度の高いクルマでした。乗り心地はしなやかで軽やかで、現代にも通用します。先代からの驚くべき進歩でしたね」

そんな好印象を、マットがまとめる。「フォーカスが優れていたことは間違いありません。ファミリーハッチバックへ期待するすべてを、再定義したモデルだと思います」。1990年代の欧州COTY代表として、相応しいコメントだろう。

協力:フォードUK社

記事に関わった人々

  • 執筆

    サイモン・ハックナル

    Simon Hucknall

    英国編集部ライター
  • 撮影

    ジョン・ブラッドショー

    John Bradshaw

    英国編集部フォトグラファー
  • 撮影

    マックス・エドレストン

    Max Edleston

    英国編集部フォトグラファー
  • 撮影

    ジャック・ハリソン

    JACK HARRISON

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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